生地に印刷できるインクジェットプリンタの違い

生地にプリントできるインクジェットプリンタを導入しようにもどれが良いのかわかりづらい!!と思ったことはありませんか。 そんなお悩みが少しでも解決できるように、各種インクジェットプリンタでTシャツのサンプルを作成し、「強み」と「にがて」をまとめてみました!

インクジェットプリンタには、昇華転写プリンタやダイレクト捺染プリンタ、ガーメントプリンタ(DTGプリンタ)、DTFプリンタ・・・など多くの種類があります。
また、プリンタで使用するインクの種類も、分散染料インクや酸性染料インク、反応染料インクなどなど・・・様々なものが存在していますが、中でも比較的扱いやすいとされる、昇華染料インクと捺染顔料インクを用いるインクジェットプリンタで今回は比較してみたいと思います。

※下記内容は独自の調査に基づいたもので、内容を保証するものではありません。

そもそも染料と顔料ってどう違うの?

用途に関係なく、インクジェットプリンタを選定する際には知っておきたい、染料と顔料。
一般的な家庭用プリンタと同様に、生地にプリントできるプリンタのインクにも染料と顔料の種類があります。

短くまとめると、
染料インクは、生地をインクで染色する
顔料インクは、生地の表面にインクを定着させる
となります。

では、どのように違うのか。
次項目で細かく見ていきます。



生地用の染料、顔料の違いをもっと細かく・・・!


染料インクのイメージ

染料インクは生地の繊維そのものを染めます


顔料インクのイメージ

顔料インクは色のついた粒子を生地の繊維上に定着させます




上図のように染料インクと顔料インクの着色方法は、異なります。

染料インクは、液体の中に着色成分(染料)が溶けているインクです。
染料インクを使用するプリンタは、一般的には生地にインクをプリントします。
その後、後処理工程(染色工程)を行うことで染料が繊維を染色します。

一方で、顔料インクは、着色成分(顔料)と接着剤のような役割を果たす成分(バインダー)が液体中に存在しています。
顔料インクを生地にプリントした後に熱プレス機などで加熱することによりバインダーが溶け、着色成分と一緒に生地に定着します。
その為、着色成分は繊維の表面に付着しているような状態となります。

大まかな染料と顔料の違いは上記の通りですが、染料インクには様々な種類のインクが存在しており、それぞれ工程や特徴が異なります。
こちらのページでご紹介する昇華転写プリンタの特徴及びプリント工程が、他の染料インクを用いるプリント方法にも当てはまるとは限りませんので、ご注意ください。
昇華転写プリンタの仕組みに関しては、昇華転写プリンタの項目にて説明します。

染料と顔料の違いについて、少し触れたところで、
Tシャツプリントで使われるプリンタの一般的な「強み」・「にがて」をご紹介いたします。



ガーメントプリンタ(DTGプリンタ)


ガーメントプリンタの出力サンプル

ガーメントプリンタの仕組み


小ロット制作にも使われている小型ガーメントプリンタ。
直接生地にプリントでき、家庭用のインクジェットプリンタと似たような使用感のプリンタです。
ガーメントプリンタに使用されるインクは、捺染顔料インク。
前処理剤をプリント前の生地に塗布することで、より精細で綺麗なプリントを可能としますが、
生地の種類によっては、前処理が不要な場合もあります。

ガーメントプリンタの「強み」・「にがて」
ガーメントプリンタの「強み」 ガーメントプリンタの「にがて」
黒や紺色などの有色生地のTシャツへのプリントも可能

■小ロットの制作に対応

■大規模な設備が不要な場合が多い
■プリンタの使用は比較的簡単ではあるが、生地に前処理剤を均一に塗布できていないと、仕上がりに影響が出る場合もある
→専用の塗布機も存在する

■前処理剤の塗布跡や臭いが残る場合がある



DTFプリンタ


DTFプリンターの出力サンプル

DTFプリンタの仕組み



比較的新しいプリント方式として登場した、DTFプリンタ。
DTFとはDirect To Filmを省略した意味で、その名の通りフィルムにプリントをして転写シートを作成し、
完成した転写シートを用いてデザインをプリントする方法です。
前処理が不要である点やプリント時は無人稼働ができる点などが特徴として挙げられます。


DTFプリンタの「強み」・「にがて」

DTFプリンタの「強み」 DTFプリンタの「にがて」
幅広い素材に対応が可能

有色生地のTシャツへのプリントも可能

■多品種小ロットの制作に対応

■比較的細かい文字もはっきりと表現

■大規模な設備が不要な場合が多い
■素材によっては、プレス跡が残る場合がある

■ラバー印刷ほどではないものの、何かを貼ってあるような仕上がりになり、生地の風合いが失われることがある



昇華転写プリンタ


昇華転写プリンタの出力サンプル

昇華転写プリンタの仕組み



昇華転写プリントは、転写紙に昇華染料インクでデザインをプリントした後に、
熱と圧力を加えて染料を昇華させ、生地に昇華した染料を染色します。
素材の風合いを残しつつ好みのデザインをプリントすることが可能なプリント方式です。(紙転写方式の場合)
発色が良く、プリント時は無人稼働が可能。
さらに、前処理や蒸し、洗浄工程が不要で工程が少なく環境負荷が小さい点が特徴です。




昇華転写プリンタの「強み」・「にがて」
昇華転写プリンタの「強み」 昇華転写プリンタの「にがて」
■染料の為、素材の風合いを残してプリント可能

■縫製されたTシャツやハンカチなど、小物サイズのグッズの多品種小ロット制作から、全面プリント、長尺プリントにも対応

■蛍光色に対応した機種が存在し、さまざまな表現が可能

蒸しや洗いといった工程がなく、排水設備などの大規模設備を用意する必要がない
■対応できる素材が、ポリエステル系素材のみで、濃色生地へのプリントに不向き
→ただし、さまざまな質感を再現したポリエステル系素材が存在

■プレス跡が残る場合がある



様々な質感を表現したポリエステル系素材!

簡単にプリントでき、Tシャツだけでなく、のぼり旗やオリジナル生地まで作れてしまう昇華転写プリント。
「にがて」としてポリエステル系素材のみの対応と記載しましたが、実は、ポリエステルは、世界で最も生産量の多い繊維
Tシャツ以外にも、インテリアファブリックやスポーツ・アパレルウェア、グッズなど多くの物に利用されています。
また、人工的に作られる繊維である為、繊維形状を変化させることで、風合いや触り心地を変化させることができます。
その為、紡績方法や製造過程を工夫することで、様々な機能性を持つものや天然繊維に似せた風合いを持つものなどが誕生してきました。


(上)クインズ/トロマット・(下)バンテン/麻ライク


綿のような質感の綿ライク生地


染色しない混紡部分を含んだラメミックスツイード

そんなポリエステル系素材に対して、
縫製前の生地の状態からプリントが可能である点
素材の風合いを残しつつも綺麗な発色を実現できる点は、
昇華転写プリンタの強みとも言えるでしょう。

結局のところ、どれがいいの?


Tシャツのプリントに使用できる多種多様なインクジェットプリンタをここまで挙げてきましたが、
結局どれが一番良いのでしょうか。

結論から言うと、使用環境や用途に合わせてプリント手法を選択することが重要となります。

したがって、どれが一番良いのかはその時の環境やお悩みによって変化いたします。
勿論、今回取り上げていない種類のプリント技術を取り入れたインクジェットプリンタもございます。
弊社では、多種多様なプリンタを開発、製造しており、お悩みや用途に合わせてご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。


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