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CASE01

株式会社ホタルコーポレーション

大阪の㈱ホタルコーポレーションは、オフセット印刷を手掛ける螢印刷㈱の子会社として2007年に設立された企業。コンセプトは「デジタルプリンタによる紙以外へのプリントを専業にする」というもので、紙から他のメディアへという、印刷業界では当時、斬新な発想でビジネスを始めた。

螢印刷は、家電の説明書などを印刷している会社で、紙への印刷がメインだった。しかし、ミマキエンジニアリングのUV硬化型インクジェットプリンタ「UJF-706」を導入。さらに後加工機でもレーザー加工機をいち早く導入し、オリジナルのスマホケースやUSBメモリ、Tシャツなど、さまざまな販促・プレミアム商品を開発・生産してきた。

同社が導入した「3DUJ-553」
同社が導入した「3DUJ-553」

カスタマーインタビュー

2Dプリンタの延長線上で導入

今回導入したフルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」も、2Dデジタルプリントの延長線上で導入したものという。
「3DUJ-553」が、ミマキのフラットベッドIJPで培ったインクジェットプリント技術を活用したものであることから、福永進取締役は「2Dプリンタに近い感覚で使えるマシンで、そこが気に入って導入しました」と話す。
フルカラープリントの3Dプリンタはこれまでもあったが、石膏で造形するタイプでは、造形した後に研磨や再着色が必要という、職人芸のような工程を経なければ製品にならなかった。

福永取締役が行きつけだったバーを再現したテスト作品
福永取締役が行きつけだったバーを再現したテスト作品

「3DUJ-553」では、1000万色を超える色を表現できる上、表現のきめが細かく、再着色などをしなくともリアルで繊細な表現を可能にしている。
さらにクリアインクも搭載していることから、つけたい部分に光沢の表現を施すことはもちろん、トンボの羽のような透明部分も表現できる。

また、従来の石膏タイプは造形後に劣化があり、長く残すことが難しかった。「3DUJ-553」で使用する樹脂素材は、劣化がほとんどなく、耐久年数が長いことも特徴だ。

水溶性サポート材の効果

3Dプリントでは、穴あき部分や極小部分を支えるため、造形後には取り除くサポート材がどうしても必要だ。一方で従来の3Dプリンタではサポート材が、プリント物の周りに固くこびりついた状態になるものが多く、後加工では化石を掘りだすように中身を削り出す作業が必要だった。
削り出しにはある程度の訓練が必要で、造形物に細かい表現がある場合、破損してしまうこともあった。
「3DUJ-553」では、水溶性のサポート剤を使用しており、水につけておくだけで、サポート剤は溶け出しプリント物を取り出せる。
さらに破損などの心配が少ないため、ぎりぎりまで細かい部分を造形でき、従来以上に幅広い表現に対応する。

サポート材が水溶性で水にさらすだけで除去できる
サポート材が水溶性で水にさらすだけで除去できる

世界遺産の「軍艦島」を造形

同機をホタルコーポレーションでは昨年からテストを繰り返し、すでに多くの立体モデルを出力・造形している。
中でも代表作となったのは、長崎大学へ寄贈した世界遺産「軍艦島」の立体モデル。
実物の780分の1全長62cmの大型立体モデルは、「3DUJ-553」の導入を進めた福永取締役が、長崎大学に飛び込みで制作を申し出て実現したものだ。
この軍艦島、長崎大学大学院工学研究科の出水享工学博士が3次元計測し、3Dデータを作成。福永取締役が3Dモデルを作り上げた。
福永取締役は「当初、3Dプリントのノウハウがなく、軍艦島の造形は何度も失敗を繰り返しながら完成させたものです。そこで学んだことが今、大いに役立っています」と振り返る。

長崎大学に寄贈されたものと同サイズの62㎝の軍艦島
長崎大学に寄贈されたものと同サイズの62㎝の軍艦島

制作は最初、小さなモデルから作り始め徐々にスケールアップ、今回、長崎大学に寄贈した780分の1モデルの全長約62cmサイズを作り上げた。出力時間は約40時間だった。

最初は小型のモデルから作り始めた
最初は小型のモデルから作り始めた

細部まで作り込まれた軍艦島
細部まで作り込まれた軍艦島

長崎大学にこの軍艦島の立体モデルを寄贈したのは2018年1月12日。
これまでパソコンの画面の中、3DCGでしか見られなかった軍艦島の俯瞰全体図に「触れて体感することが可能になった」と喜ばれた。
「3DUJ-553」は、0.2㎜程度の細かな表現が可能で、建物や道路はもちろん、ベルトコンベアーや地面の陥没箇所などの小さな構造物まで再現している。

パソコンの中から現実の世界に

同社ではすでにクリエイターによるモデリングの造形も手掛けている。
福永取締役には「せっかくならCG業界にもPRしてみたい」という思いがあり、こちらも自ら積極的に売り込みに行った。

同社のプリンタで出力したクリエイターの最新作品。
同社のプリンタで出力したクリエイターの最新作品。

非常に細緻な部分まで表現されている
非常に細緻な部分まで表現されている

「実際にモデルを作ったところ、クリエイターさんに本当に喜んでいただいています。作り手にとってモニターの中のものが、リアルな世界に飛び出してくるというのはまさに夢の世界の話で、立体造形アーティスト業界に衝撃が走っているんですよ」と嬉しそう。

ただ、最初に発注された造形物の仕上りには不満があったという。
というのも、支給されたデータは、石膏タイプの3Dプリンタを想定して作られており、髪の毛や服のしわなどがデフォルメされた状態で送られてきた。
「この3Dプリンタは、繊細なグラデーション表現や髪の毛の一本一本のディティールの再現まで可能です。今まで以上にリアルで美しい3Dプリントが可能となりました」と福永取締役はその性能を解説する。

現在、同社ではCGクリエイターなどと連携してのデジタルによる原型製作を進めている。
CGクリエイターは、立体のCGデータを作りパソコンの中で見ることや、動かすことはできたが、実際にそれを手に取ることは難しかった。
これまでも石膏タイプの3Dプリンタでフィギュアの造形もされていたが、そのクオリティーは、紹介した通りで、研磨や再着色など人的要素に左右されることも多かった。
コンピューターグラフィックスを描けるのだから、クリエイター自身が削り出し、着色すればいいという声が聞こえてきそうだが、CGをつくるパソコン上の作業と、ペンや筆を使った絵画ではその技術が全く異なるので、簡単にはいかない。
「3DUJ-553」なら、この課題を解決し、クリエイターの理想に近い形でグラフィックを忠実に再現できるのだ。

最大級のクリエイター作品。鮮やかな色と緻密な造形が特徴だ
最大級のクリエイター作品。鮮やかな色と緻密な造形が特徴だ

ホタルコーポレーションでは、世界最大のガレージキット(手作りの模型やフィギュアとその原型)に関する見本市「ワンダーフェスティバル」にも出展し、さまざまなジャンルでデジタル原型制作などをおこなう立体造形アーティスト集団「ウルトラモデラーズ」の作品を展示し、来場者から大きな注目を浴びた。

3Dプリントの今と今後

さらにホタルコーポレーションでは2018年4月に、2台目の「3DUJ-553」を導入した。
2台目の導入により、短納期小型モデルと大型モデルの造形を振り分けられるので、仕事の効率が向上したという。

また、1台の時はまったくできなかった造形終了時間のコントロールも可能になり、労働環境の改善につながったという。万が一、保守で1台が停止しても、もう1台でバックアップできるため「お客様に迷惑がかからなくなりました」と顧客対応面での進歩もあったという。

福永取締役は「VTuber(ブイチューバ―)の3DCGを造形することを進めています。さらには、美術大学や専門学校の卒業制作での活用や軍艦島を作ったようなアカデミックな展開もしていきます。今あるものを移行するだけといったビジネスではなく、当社が仕掛けて『新しい市場を創る』ということを目標にしています」と今後の展望を語る。

さらに「自分や社内でいくら考えても活用アイデアは生まれません。ユーザーとともに新しい使い方を発見していければと考えています」と呼びかける。

クリアインクを駆使したデザインの造形にもチャレンジ
クリアインクを駆使したデザインの造形にもチャレンジ

福永進取締役。軍艦島を手に「3DUJ-553」の前で
福永進取締役。軍艦島を手に「3DUJ-553」の前で

企業・団体プロフィール

株式会社ホタルコーポレーション

所在地 大阪府大阪市住之江区浜口西1丁目13-3 螢印刷ビル4階
TEL 06-6676-5525
FAX 06-6676-5526

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※1:2017年8月現在 当社調べ

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