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CASE04

株式会社ポプルス

㈱ポプルスは1976年、東京都板橋区で設立された企画印刷業者。同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」に第1回から参加しており、同人誌や関連グッズの製作者から厚い信頼と支持を得ている。1991年にマッキントッシュによるDTP、1993年にはオンデマンド印刷の導入など、最新機器の投入も草創期から始めており、これらの技術でユーザーを支援することでも定評がある。

そんな同社がミマキエンジニアリング製の3Dプリンタ「3DUJ-553」を導入。中澤美木副社長が「お客様に『ポプルスがまた一つ進化した』と思っていただける未来形につながるのがこの3Dプリンタ『3DUJ-553』です」と導入の目的を語るように、自社が進化し、新たな世界が見えてきたという。

ポプルス本社
ポプルス本社

カスタマーインタビュー

まったく別物の発色

ポプルスのサービス利用者は「コミケ」に出展するようなコアな人たち。漫画やアニメが好きで、それに関連する二次創作物や、グッズ、フィギュアを実際に制作しているクオリティーには人一倍敏感な層だ。
これらコアなユーザーを満足させられる性能が、この3Dプリンタにはあるという。

同社では「3DUJ-553」の導入以前から、3Dプリンタを運用してきた。
従来はカラープリントできる石膏タイプの4色プリンタで、主にフィギュアを作成しており、立体造形物に色を付けて出力することは当たり前に行っていた。

左から藤江広行課長代理、中澤美木副社長、児玉雄一郎課長
左から藤江広行課長代理、中澤美木副社長、児玉雄一郎課長

企画部企画広報課の藤江広行課長代理は、3Dプリンタのオペレーター。今回「さらに高精細なフルカラーの3Dプリントに挑戦してみたい」と声を上げて、導入の中心になった人物でもある。
藤江課長代理は自身がイラストレーターで、立体造形アーティスト。毎回、同社がコミケへ出展する際、販売するグッズの制作も手掛けている、いわば“つくり手の気持ちが分かる男”だ。

藤江広行課長代理
藤江広行課長代理

その藤江課長代理は「一目見てサンプルのキューブが気に入りました。暗い色から明るい色まで、石膏はもちろん、他の樹脂製より発色がよく、まったく別物と感じました」と第一印象を口にした。

「3DUJ-553」で作成したカラフルなキューブ
「3DUJ-553」で作成したカラフルなキューブ

もう一人の導入の中心となったのは、企画部企画広報課の児玉雄一郎課長。印刷の世界四大機材展に数えられる「IGAS2018」でもセミナーの講師を務めるほど、最新技術と印刷業の今に詳しい。
その児玉課長も「石膏タイプの4色機を使っていたのでフルカラーが大前提。次に購入するなら『3DUJ-553』と思っていました」と製品に太鼓判を押す。

児玉雄一郎課長
児玉雄一郎課長

石膏タイプの弱点はその強度だった。
藤江課長代理は「石膏タイプは、作業工程上の手間が多いのです。その最たるものが造形して取り出すときに慎重に扱わなければ、すぐに破損してしまうこと。非常にもろいので、全体を固めるコーティングをしなければ、商品になりません。その前にサポート材と表面についた粉を吹き飛ばす作業もあります」
児玉課長も「サポート材から上げてみたら、部品の一部がなくて作り直しというケースもありました」と話す。

粉末石膏は粉が飛散するので、作業環境も良いとはいえず、耐候性に課題があり、購入者の手に渡ってからも、時間が経過すると色があせたり、欠けたりといった心配があった。
そして、品質も細かな部分で粒状感があり、色も思った通りには出ないなどの不満も感じていた。

左が「3DUJ-553」、右が石膏タイプのプリンタでつくった作品。滑らかさに違いが明らかだ
左が「3DUJ-553」、右が石膏タイプのプリンタでつくった作品。滑らかさに違いが明らかだ

そんな課題を抱えていた時に中澤副社長が展示会で持ち帰ったのが、ミマキの3Dプリンタで作成されたキューブのサンプル。
児玉課長が単純に「発色も、強度も、すごいな」と言えるものだった。

きっかけは中澤副社長が3Dプリンタを特に意識せずに行った展示会で、ミマキのブースに立ち寄り「3DUJ-553」を見かけ、思わず「面白いなあ」と足が止まったことから。
3Dプリントで、印刷(色付け)と造形を一緒に行う様子は、見ていて飽きないもので、サンプルで見たトンボの羽根が透けている様子には目が釘付けになった。

児玉課長も導入にあたっては、他の3Dプリンタのデモンストレーションやサンプルを見たが、「発色がよくない」「サポート材が多すぎて使えない」といった課題があり、いずれも導入には至らなかった。

圧倒的な使いやすさ

実際、「3DUJ-553」導入後の感想を聞いてみた。
速度に関しては、「実は石膏の方が早い」と児玉課長。しかし「後処理の時間を考えるとトントンか、少し早いくらいで、破損を気にしながら後処理する面倒くささがまったくなくなりました」とトータルでのメリットを強調する。

「3DUJ-553」での後加工は、サポート材を落とした状態で完成しており、コート剤や研磨作業の必要もない。仕上りが均一で、データをしっかり作ればほぼ失敗がないことも特長だ。
メンテナンスに関しても、石膏タイプは毎日油を注さねばならず、なにより石膏が飛散するため、日々の清掃が大変な負担になっていた。
これに比べ「3DUJ-553」は、ヘッドの汚れを1日1度クリーニングする程度でよく、藤江課長代理も「UV硬化型のインクジェットプリンタを担当していたので、基本的にメンテナンスは同じです」と親しみやすい設計と操作を気に入っている。

導入された「3DUJ-553」。扱いやすさでも高評価
導入された「3DUJ-553」。扱いやすさでも高評価

造形の作業時間は、10㎝サイズで、寝かせた形で出力した場合、高精細モードで12時間~18時間ほど。同社では夕方から出力をはじめ、翌日の昼くらいには取り出す。サポート材除去は、1〜2日水に浸しておくだけで掘り出す作業はなくなった。

導入初期に機械上のエラーで出力が止まることがあったが、その際も迅速にサービスが到着し、トラブルは改善された。 すでに石膏タイプの3Dプリンタは廃棄しており「使いだしたら石膏に戻れないと感じます。ミマキさんとは、以前からお付き合いがあり、サポート面では安心でした」と児玉課長。

ワンフェスでも大きな反響

同社では、3Dプリンタの用途は100%フィギュアなどの立体造形アート。
「お客さまからいただくデータは、キャラクターなら前と後ろから描いたイラストがあれば充分」と藤江課長代理。自身もイラストを描けることから、データをただ立体造形するだけではない作り手の側に立った制作ができる。データ制作は一から学んだそうで、実際の仕事で身につけたため制作力は非常に高い。

「コミケ」では初回から毎回出展している同社だが、「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)」にも常連参加企業の一つだ。
「コミケ」は同人誌即売会で主に2次元の商品が中心なのに対し、「ワンフェス」はガレージキットと呼ばれるオリジナルの模型や造形物を披露し即売するイベントだ。
当然、3Dプリントに対しては厳しい目で評価される。

ハロウィンをイメージしたフィギュア
ハロウィンをイメージしたフィギュア

自身も立体造形アーティストである藤江課長代理は「ワンフェスのお客様からも非常に好評です」と胸を張る。
2018年2月に行われた「ワンフェス」で造形したグッズを初出品したところ、大きな話題となった。また、8月開催の「コミケ94」でも藤江課長代理がモデリングした新作立体造形アートを発表し、こちらも非常に好評を得た。
ポプルスの新作が出たら買ってくれるという固定ファンもおり、ほとんどの場合、商品は期間中に完売となる。

「コミケ94」で販売された著名イラストレーターデザインの3Dフィギュア

元になったイラスト
元になったイラスト

3Dモデリングデータ
3Dモデリングデータ

3Dフィギュア
3Dフィギュア

3Dプリントした商品は2.5万円~3万円、小さなものでも8000円ほどで、素人から見ると高価と感じてしまうが、1点モノのガレージキットでは数万~十数万円がざらという世界で「このクオリティーとサイズならむしろ安すぎる」との声もある。
出品する側のモデラーや原型師といった目の肥えた層が「こんな値段で、こんなに綺麗にできるのか」と衝撃を受けていたという。

児玉課長も「3D中心で活動してきた人からは、安すぎるという言葉をいただくことが多いです。立体造形は造形料金・金型代を合わせれば、原価は安くても数十万円、ひょっとすると百万円を超えるケースもあるので、印刷など2Dの世界の制作とは値ごろ感に大きな差があると思います」と解説してくれた。

中澤副社長は出展に関して「ミマキの『3DUJ-553』によって、3Dプリントが進化したという姿をお客様にお見せできました。これに比べれば、過去の作品は色があせたものに見えます。こういった状況は非常に良いことだと思います」と導入後の成果を振り返る。

ポプルスに頼めば「これまで1体しか作れなかった商品が、金型なしで、安価に複数作れる」そんな世界が見えてきた。

「原価ギリギリ」それでも目指す世界は?

ポプルスでは今後、年間30点ほどのフィギュアを受注して制作したいと考えているが、3Dプリンタで描く夢はそれだけにはとどまらない。

同社が自社制作のフィギュアにつけている2.5万円~3万円という価格は、3Dプリントの材料費などを考えれば原価ギリギリの金額で、非常に安価で引き受けている。

また、先行している会社としては、他社には参入してほしくないと考えるかと思っていたが、中澤副社長は「当社のように3Dプリンタを活用する会社が30社ぐらい現れれば、材料も安価になり市場が変わるはず」と多くの企業に参入を呼びかける。
そこには「購入者が若い世代なので、安価に多くの人に買ってもらいたい」「一人でも多くの人が3D の楽しさに触れてもらいたい」という願いがある。

会議室で、3Dプリントにかかわった3人は楽しそうに将来を話す
会議室で、3Dプリントにかかわった3人は楽しそうに将来を話す

藤江課長代理も「3Dモデリング用のソフトは現在、200万円以上しますが、これはいずれ安くなるはず。イラストを描くソフトも20年前は高くて個人では買えなかったのに、今は多くの若者が安価に好きなソフトを選んでデジタルでの作画を楽しんでいます。私はこれと同じ状況が3Dプリントの世界でも起こると考えています」。
児玉課長も「バーチャルユーチューバーが一気に広がったように、3Dモデリングのすそ野は広がっていきます。おそらくイラストのソフトなどよりも早く、あっという間に広がっていくだろうと予測しています」と力強い。

中澤副社長は「3Dプリントには夢があります。導入した瞬間、そしてでき上がったフィギュアを見るだけで、どんな会議をするより社員全員が未来を見ることができ、夢を持ち、心意気が上がりました。立体アートの世界からも注目を受け、話題になったことも重要です。『また一つ進化したポプルスを見せられた』それだけで会社としては機械の代金の元は取っていると感じます」と導入が会社全体への好影響をもたらしたとする。

「3Dプリントには夢がある」と語る中澤副社長
「3Dプリントには夢がある」と語る中澤副社長

同人誌やガレージキットは、作り手の思いが込められた商品。その思いに応える会社の在り方を、デジタルプリントを介して展開していく、そんな同社の姿が見えてきた。

企業・団体プロフィール

株式会社ポプルス

本社 東京都福生市武蔵野台1-15-19
TEL 042-552-0596
FAX 042-552-0641
URL https://www.popls.co.jp/

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