「CJV200-130」を導入いただいている畠山印刷株式会社様の事例が、ラベル業界専門紙『ラベル新聞』 No. 1370(2026年8月15日号)に掲載されました。
以下に掲載された記事を原文のままご紹介いたします。
大型・大量ラベルを手貼りで "できない" を仕事に変える
畠山印刷(株)(三重県四日市市西浦、畠山純綱社長、☎059・351・2711)は、1918(大正7)年4月に創業した印刷会社。地域に根ざし、活版印刷からフォーム印刷、オフセット枚葉印刷へと、時代の潮流に合わせて主力とする印刷を移してきた。
近年は枚葉デジタル印刷機やインクジェットプリンタ(IJP)を活用し、多品種小ロットへの対応を強化。ラベルでは、熟練者による手作業を強みに、数千枚規模のラベル貼りを短期間で仕上げる体制を整えるほか、サイン分野では、出力だけでなく車両ラッピングの施工までを手がける。
同社の歩みと、他社では対応が難しい細かな要望にも応える取り組みをリポートする。
畠山 純綱社長
石油化学コンビナートを擁する工業都市・四日市。その発展と歩調を合わせ、時代のニーズに応じて仕事の領域を変えてきた印刷会社がある。今年、創業108年を迎えた畠山印刷だ。同社は、畠山純綱社長の曽祖父が創業し、4代にわたり事業を継承してきた。現在は、伝票や針金付き荷札、公的機関向け書類などの各種印刷物を手がけるほか、小ロットのラベル印刷や手作業によるラベル貼りの受託加工、サイン出力からカーラッピングなどの施工まで幅広く対応する。
「印刷だけで完結するのではなく、常に顧客の困りごとに応えてきました。その積み重ねが、現在の事業につながっています」
畠山社長の言葉どおり、同社の歩みは印刷会社という枠に収まらない。
創業当初、同社は活版印刷で封筒や事務用品などを手がけていた。四日市コンビナートが発展する中、先代の時代にはフォーム印刷へ事業を広げ、参入から10年ほどして輪転式フォーム印刷機を導入し、事業を本格化させた。当時は三菱グループをはじめ多くの企業・工場が同地に集積し、拡大する帳票需要が同社の成長を後押しした。
しかし、ペーパーレス化の進展に伴い、フォーム印刷の需要は次第に縮小。導入した機種は帳票生産に特化しており、他の印刷への転用も難しかったという。そこで同社は将来を見据え、再び新たな分野へ舵を切る。2004年にはリョービ製オフセット枚葉印刷機を導入し、名刺やチラシ、カタログ、ラベルなどのカラー印刷へ軸足を移した。中でも、工業製品向けを中心とするラベルは、その後の事業を支える柱との1つとなっている。
現在も稼働するハイデルベルグの活版印刷機とリョービ製オフセット枚葉印刷機
ただ、枚葉紙を対象とするオフセット機で、粘着紙を安定して印刷するのは容易ではない。粘着剤がしみ出してブランケットを汚すこともあるため、印刷枚数や資材の状態を見極めながら、こまめな清掃と調整が欠かせない。ブランケットを拭くタイミングにも、オペレーターの経験がものをいう、と畠山社長は話す。
さらに同社は、ラベルを印刷して納めるだけでなく、その先のラベル貼りの作業まで引き受ける。その例が、外資系メーカーが輸入するスプレー缶向けの日本語表示ラベルだ。従来の委託先で対応できなくなり、「どこかできる会社はないか」と相談を受けたことが受注のきっかけとなったという。
同ラベルは容器全面に貼付する面積の大きいもので、約4000枚に上る。通常はラベラーでの対応も考えられるが、顧客側の設備やコスト、枚数の条件が合わなければ、手作業による貼付が現実的な選択肢となる。同社では、このようなユーザーの困りごとにもきめ細かく応える。一般印刷で培った細かな作業のノウハウを生かし、経験豊富なスタッフが1本ずつ手貼りして実働5日ほどで仕上げ、約1週間で納品しているという。
貼付作業やアッセンブリーに対応できる会社が少なくなる中、同社は他社が引き受けにくい仕事を自社の強みを生かせる分野と位置づける。必要に応じて熟練者を集め、短期間で作業体制を整えるなど、印刷にとどまらない受け皿として存在感を高めている。
熟練スタッフが約5日で、約4,000本分の商品ラベルを手貼りで仕上げる
小ロット化の流れにデジタル機で対応
人の手による対応力に加え、同社は設備面でも小ロット化への対応を進めてきた。印刷市場では発注ロットの小口化が進み、従来1000枚単位だった注文が500枚、100枚、時には50枚へと減少。大量生産を前提とした設備では、採算の合わない仕事が増えている。
オフセット枚葉機の老朽化や簡易版材「シルバーマスター」の運用難が課題となる中、カラー化や短納期対応へのニーズも高まり、同社は約10年前、富士フイルムビジネスイノベーション製の枚葉デジタル印刷機「Revoria」を導入。名刺や封筒、伝票に加え、小ロットラベルにも活用している。
工業系ラベルもその1つで、同機やコンベンショナル機で対応する。製品本体に貼るラベルだけでなく、出荷用段ボールの注意表示や工程管理用途なども手がける。
従来、同社ではこうしたラベルの一部を外注していた。しかし、A4判に10面付けしたシートラベルでも、発注量が100枚、50枚と減れば、外注ではコストが合わない。そこで、枚葉デジタル印刷機で印刷した後、平台プロッタでカットし、カス上げまで行う生産方法を確立。従来品と同じ体裁に仕上げ、10~50枚といった極小ロットラベルを内製できるようにした。
ラベルや名刺など小ロット印刷に対応する枚葉デジタル印刷機
一方、同社の小ロット対応を支えるもう1つのデジタル機が、プリント&カット機能を備えるIJPだ。同機への取り組みは、枚葉デジタル印刷機の導入より早い。
約15年前にフォーム印刷の売り上げが減少する中、畠山社長はサイン・ディスプレー分野にも目を向けていた。もともと車好きで、ステッカーを自作し車体などに貼って楽しんでいたことから、まず5万~6万円のカッティングプロッタを購入。製作したステッカーを友人に配って需要を探ったところ、予想以上の反応が得られたという。
そこで名古屋のメーカーショールームへ足を運び、実機の性能や出力サンプルを確認。小ロットのステッカー製作を事業化できると判断し、ローランド ディー.ジー. 製IJPを導入した。「決して勢いで購入したのではなく、自分なりに市場をかなり調べました」と畠山社長は当時を振り返る。
印刷会社として製版やデータ作成を内製していたことも、IJP事業の立ち上げを後押しした。既存の印刷データを転用することでカットラインも作成できたため、設備導入後も早期に生産を立ち上げることが可能だったと振り返る。
ステッカー製作から始まったサイン事業は、やがて車両ラッピングの施工へと拡大。現在は商用トラックや自治体車両、コミュニティーバスなどのカーラッピングも手がける。自治体の給食配送トラックでは、荷台部分を全面ラッピングした実績もあり、出力から施工までの一貫対応が同社の付加価値となっている。
また、サイン分野で培ったIJPの活用は、ラベルやステッカーなどの小ロットにも広がっている。枚葉デジタル印刷機では対応しにくい素材や耐候性、耐水性が求められる用途では、IJPを選択する。同社は、こうした用途の広がりに対応するため、ローランド ディー.ジー.製の旧機を、ミマキエンジニアリング製の新型IJPへ更新した。
耐候・耐水用途に対応 IJPの活用広げる
約15年にわたりステッカーやサイン、小ロットラベルの生産を担ってきたIJPは、部品供給の終了が近づき、故障も目立つようになっていた。一昨年の暮れには、修理を重ねながら稼働を続けていたという。
「小ロットラベルや車両ラッピングの仕事を止めるわけにはいかない」と、畠山社長はIGASなどの印刷機材展で各社の実機を確認。価格や作業性、機種の新しさなどを比較し、後継設備としてミマキエンジニアリング製IJP「CJV200-130」を選定した。
納入当日に機械操作やRIPソフト、カット方法の説明を受け、その後も販売代理店のフォローを受けながら、約1週間で実生産へ移行。基本的な操作は従来機と大きく変わらない一方、RIPソフトによる出力制御には大きな違いがあったという。
ミマキ製IJP「CJV200-130」
畠山社長が特に評価するのが、乾燥条件を細かく設定できる点だ。乾燥が不十分なまま印刷物を巻き取ると、印刷面同士が貼り付く恐れがある。同機では、ヘッドの走査後、次の印字動作に移るまでの待機時間を秒単位で調整できる。
「ベタの多い絵柄なら3秒、これくらいなら1秒というように細かく調整できます。これは品質に直結する部分で、印刷屋なので絵柄を見ればどれくらい乾燥時間が必要かは感覚的に分かります」(畠山社長)
オフセット印刷でも、ベタ面積の大きい印刷物は十分に乾燥させてから後工程へ回す。同社は、長年培ってきたインキ量や乾燥に関する印刷の知見を、IJ出力にも生かしている。さらに、色再現性の向上については、特に印刷では再現が難しいとされるオレンジをきれいに表現できる点を評価している。
通常のラベルは現在もオフセット枚葉印刷機で生産する一方、CJV200-130では、極小ロットや特殊素材、耐水性が求められるラベル製造などにも活用している。中でも特徴的なのが、冷凍状態で長距離輸送される食品ラベルだ。低温や水分の影響で剥がれたり浮いたりしない性能が求められる一方、数量は200~300枚程度というボリューム。採算を取りづらい特殊な仕事に、同社はIJPを活用して対応している。
ミマキ製IJP「CJV200」で製作したヘルメットの装飾用ステッカーや、冷凍・長距離輸送向けに耐水性が必要な食品ラベル
このほか、子どもが描いた父親の似顔絵を車に貼るオリジナルステッカーといったB to Cの仕事についても、1件ごとに細かな要望に応えている。このようなステッカーでは、1枚の依頼でも、材料取りや作業効率の面から複数枚を同程度の価格で製作できる場合がある。同社は祖父母への贈答用などとして追加製作を提案し、顧客にも喜ばれているという。単に出力して納めるだけでなく、カットやカス上げ、貼付、施工までを組み合わせ、付加価値を高めている。
全国的に後継者不足や設備更新の負担から、生産を縮小する小規模印刷会社は少なくない。三重県内でもこうした動きがあり、少量印刷や特殊加工の相談も増えていると畠山社長は話す。
活版からフォーム、オフセット枚葉、POD、ラベル、サイン・ディスプレー、施工へ――。同社が守り続けてきたのは、1つの印刷方式ではなく、変化に応じて新たな仕事を生み出す姿勢だ。
「印刷のボリュームが減り続ける現在、小回りを利かせ、さまざまなことに対応することで、お客さまの一助になりたい」
畠山印刷では今後も、オフセット枚葉、枚葉デジタル印刷機、IJPを使い分け、細かな要望に応えていく。印刷にとどまらない受け皿として、存在感を高めていく考えだ。
企業・団体プロフィール
- 名称畠山印刷株式会社
- 業種フルカラー印刷、連続伝票等印刷物全般、ラッピングカー製作、看板製作 等
- 住所三重県四日市市西浦2丁目13-20
- 電話番号059-351-2711
- URLhttps://www.cty-net.ne.jp/~hpc-ltd/
