【素材開発×プリンティング】で独自の市場開拓に挑む
TS500P-3200/Monti Mod.901-3600導入の決め手
- カーテン、テーブルクロス業界で染料インクによる3m幅のデジタル印刷は大きな競争力になる
- 自由なデザイン、高生産性、安定性、多品種小ロット生産対応に期待
デジタルプリンティングの時代が来ると確信
ナテック株式会社は奈良で唯一のレース製造会社として1942年にスタートしました。78年の歴史を経て、現在、国内のカーテン・テーブルクロス業界でそれなりの存在感を持つに至っています。
私は社長としては5代目。大型染色機でのロット染色による従来の染色加工事業を継続して行くだけでなく、さらなる成長を模索する中で飛躍の鍵になると着目したのがデジタルプリンティングです。
ニーズが増している多品種小ロット、精彩で細緻なデザイン表現等を実現するには、デジタルプリントが不可欠です。服飾のテキスタイル染色で既にデジタル化が加速しているように、広幅が絶対条件となるカーテン・テーブルクロスの染色の分野でも、近い将来デジタルプリントの時代が来ることは確信していました。
当社が広幅生地対応のデジタルプリンタの導入に踏み切ったのは8年前の2012年。国内の業界では3m幅のプリンタはまだまだ希少であったようです。MIMAKIのマシンも候補にあがったものの、当時導入したのは米国メーカーの3.2m幅のインクジェットプリンタでした。
宣伝・サイン業界でポジションを確立し
MIMAKIのマシン採用で次のステージへ
当時、国内の業界では3.2m幅のインクジェットプリンタから出力される各種催事や大会の会場を演出する垂れ幕、建物の壁面を彩る宣伝・広告幕は、サイン類の分野で大きな話題を呼びました。当社は生地開発、生地加工においても伝統と実績があります。それまで3m幅の生地メディアはほぼ海外製でしたが、弊社が自社開発の3m幅防炎国産生地メディアを販売開始すると同時に3m幅インクジェットプリント出力を組み合わせたことは業界に新たな風を吹き込んだと自負しています。
特殊な分野ではありますが、ユーザーのニーズに着実に応えることで、宣伝・サイン業界における一定のポジションを確立できたと感じています。ただ、導入したプリンタはラテックスインクを用いるものですので、インクの性質上、印刷物を折り曲げることができません。そのため、納品や実際に現場で使うための輸送にその都度大きなコストがかかります。また広い保管スペースを要し、洗濯できないという点でも、お客様にはご不便をおかけしていました。
それらの課題をすべて解消するマシンとして2019年4月に導入したのが、染料インクを用いるMIMAKIの昇華転写インクジェットプリンタTS500P-3200ならびにMontiの昇華転写プレス機Mod.901-3600 です。宣伝幕やサイン類の生地だけでなく、インテリア関係などより幅広いニーズにお応えできるようになったのです。
また、昇華転写用の生地を自社開発するにあたり、これまで外注していたプリント試験を社内で行えるようになったのも大きなメリットです。
国内初! 3m幅のデジタルプリント生地が
大手メーカーのカタログに掲載
MIMAKIのマシン導入により、カーテン・テーブルクロスの染色でもデジタルプリンティングが本格化の兆しを見せ始めました。昨年からデジタルプリントを新事業と位置づけ、技術スタッフの充実や営業面でも力を入れています。
実は、あるインテリアファブリックの大手メーカーの2020年のカーテンカタログに、デジタルプリンティングによる当社製生地が採用されました。大量生産を前提とするカーテン生地のカタログに国内の3m幅インクジェットプリンタでプリントした生地が掲載されるのは日本では初めてであり、エポック的なことです。
カーテンの生地そのものは勿論他の衣料用生地や資材用生地と同じですが、1枚の用尺が多く縫製も複雑なため、問屋ごとに検査基準、納入基準が異なるという特殊な事情があります。長くこの業界に特化してきた実績を最大限に生かしながら、新たな飛躍をしていく上で、最初の大きなステップとなるでしょう。ただし、カーテンのプリントには50mをノンストップで刷ることが条件となります。MIMAKIさんが謳っている「高生産を実現できる安定性」に、大いに期待しています。
素材開発×プリンティングの特化技術を
最大の強みに新市場を開拓
従来の染色と比べると、デジタルプリントはまだまだ高コストです。その点、当社は素材開発、素材加工のプロフェッショナルとして、特殊な生地に自由自在なデザインを美しく表現できることを強みとし、付加価値の高さでユーザーにご満足いただく自信があります。
例えば、百貨店、駅などでよく使われる「内照看板用生地」をはじめ、医療・福祉関係の現場でのニーズが高い消臭・制菌加工生地、ホテルや商業施設に不可欠の防炎加工生地など、特化技術とプリント技術を組み合わせた独自の製品を供給するメーカーとして、新たな市場に切り込んでいきたいと考えています。また、そのための素材開発も加速しています。
現在、当社の全売上に対する素材販売+デジタルプリンティングの割合は、まだわずか5%に過ぎません。しかし2年から3年で、これを10%以上にしていけると踏んでいます。MIMAKI製マシンへの期待がいかに高いかがおわかりでしょう。今後も頼もしいサポートをよろしくお願いします。
ナテック株式会社
1942年レース製造会社として創業。染色設備・技術の充実に加え、ポリエステルの難燃加工をはじめとする布素材加工技術で独自の発展を遂げた。
現在はカーテン、テーブルクロスを中心とするファブリックの染色および布素材開発における国内屈指のメーカーであり、なかでも広幅分野の加工高は国内一。素材開発技術×染色技術の未知なる可能性に挑み続けている。
<導入製品>
3.2m幅スーパーワイド昇華転写インクジェットプリンタ:TS500P-3200
スーパーワイドロール型昇華転写プレス機:Monti Mod.901-3600
企業・団体プロフィール
- 名称ナテック株式会社
- 業種ポリエステル編織物の染色整理・インテリア製品の販売(テーブルクロス カーテン 寝装品 日除け)・インクジェット用広幅メディアクロス販売および出力サービス(320cm巾)
- 住所奈良県奈良市西九条町5丁目4番地の5
- 電話番号0742-62-1181
- URLhttps://www.natec.ne.jp/