のぼり旗メーカーがグッズ市場に挑戦 11台のDTFプリンタ「TxF150-75」で大量生産に応える:服部株式会社様

課題
改善
主力のフラッグ(のぼり)市場が縮小傾向にあるため、新規市場を開拓したい。
TxF150-75を11台導入しグッズ製造を開始。属人化作業にならないよう新規スタッフでも製造ができる環境を整えることで、スピーディー・安心・安全な生産体制を構築。1枚~数万単位での注文にも対応。

導入した製品

TxF150-75」を導入いただいている服部株式会社様の事例が、印刷業界専門誌『プリテックステージ』(2025年6月号)に掲載されました。

以下に掲載された記事を原文のままご紹介いたします。



のぼり旗メーカーがグッズ市場に挑戦
11台のDTFプリンタ「TxF150-75」で大量生産に応える


創業は明治5年(1872年)にまでさかのぼる、のぼり・旗・幕の総合メーカーである服部株式会社は、ミマキエンジニアリングのDTFプリンタ「TxF150-75」を昨年夏、10台導入。先に導入していた1台をあわせた11台の生産体制を構築し、今まで取り組んでこなかったグッズ製造に本格的に乗り出した。


のぼり旗市場の変化


服部は、歌舞伎幕の製作に始まり、国旗、のぼり、エアロバナーなど様々なフラッグ、POP製品全般の製造を行っている他、海外からの原材料の輸入・製品の輸出入まで行っている総合フラッグメーカー。フラッグ(のぼり)のオートプリント生産設備とフラッグポール製造設備を併せ持つことも、大きな特徴となっている。過去には、1998年の冬季・長野オリンピックやサッカーワールドカップ2002、2005年の愛知万博などの公式フラッグの制作も行ってきた。

フラッグ製造の拠点として、愛知県みよし市の東名三好工場、三重県桑名市の多度工場が稼働している。2024年8月には、桑名市の多度工場に、DTF(Direct To Film)プリンタ「TxF150-75」を10台導入。2023年秋に先に導入していた1台を加え、TxF150-75が11台体制となり、大量のDTFニーズに対応できる生産体制を構築している。

元々、同社では、フラッグ製造として捺染機の他に、ラテックスプリンタの活用や、昇華プリンタによるダイレクトプリントなどで、様々なニーズに対応してきた。しかし近年、クライアント企業の広告費の活用方法が変化。特に“のぼり”等の旗の採用を控える傾向が強まり、フラッグ市場そのものが縮小しつつあるという。

こうした背景から、フラッグ製造の技術を活かしつつ、新規市場を開拓すべく、グッズ製品の製造にチャレンジしている。


DTFプリンタ「TxF150-75」でフィルムにプリント

DTFプリンタ「TxF150-75」でフィルムにプリント


しかし、グッズ製造を開始した直後、社会はコロナ禍を迎えた。そのため、社会的に企業活動が停滞し、急速にイベントなどの各種行事が自粛されるようになった。同社の新規事業も影響を受けることになったが、昇華転写プリンタを活用し、企業ロゴなどをプリントするウレタンマスク製造を進め、やがて来るであろうグッズ製造ビジネスの準備段階としてきた。

これまでのグッズ製造といえば、日本から中国へ製造現場が移り、大半が中国で製造されていた。そこで服部は、グッズ製造に取り組むにあたり、グッズ市場について調査。その結果、メンテナンスや保守、対応力などについてユーザーが不満を抱いていること、人件費の高騰や輸送コスト・輸送時間の問題などが浮上していることなどが明らかとなった。

市場の課題を反映し、国内だからこそ実現できるスピーディーで、安心・安全なグッズ製造できる生産環境を構築することを目指した。「国内であれば品質管理もしやすく、急な発注にも対応できます」(常務取締役営業本部長・佐川純氏)と語る。

またプリンタの選択では、Mimakiの昇華プリンタを活用したダイレクトプリントを行ってきた経験があることなどもあり、MimakiのDTFプリンタを選択。2024年夏に、一気に11台の生産体制を構築できたことで、手間暇がかかる数千~数万に上る大量のニーズにも対応できる生産環境を実現させた。これにより、「グッズ製造において後発ですが、インパクトある生産環境を構築できたと思います。顧客企業に対するアピールになると思います」と佐川常務は述べている。


仕切りを挟んだ隣の部屋でプレス作業

仕切りを挟んだ隣の部屋でプレス作業


大量生産する現場づくり


今回、導入した「TxF150-75」は、最大印刷幅80cmに対応するプリンタ。CMYKおよび白の5色で構成されたDTF専用の熱転写顔料インク「PHT50」を採用しており、繊維の安全性に関する国際規格「OEKO-TEX®(エコテックス)」の取得に必須のECO PASSPORT認証を取得している。

また、インク吐出不良や白インクの詰まりといった課題についても、プリンタのインク包装形態にアルミパックを採用する脱気インク設計を採り入れ、白インク循環機能MCTv2(MimakiCirculation Technology)を搭載することで改善されている。

安定稼働をサポートするMimakiのノズル抜け検出機能の技術NCU(Nozzle Check Unit)と、ノズル抜けを他のノズルで補う機能NRS(Nozzle Recovery System)も搭載。これにより、仕事を止めずに継続して出力できるようになるなど、製造現場をサポートする。

これらのTxF150-75の特徴を生かすことで、大量のグッズ製造ニーズにも、スムーズに応えられるようになる。


多度工場4階の物販部門には11台のTxF150-75が並ぶ(多度工場スタッフと)

多度工場4階の物販部門には11台のTxF150-75が並ぶ(多度工場スタッフと)


コラボレーションのきっかけに


服部では徐々にグッズ製造ビジネスを拡大してきた。スタート当初は、コロナ禍を背景にしたオリジナルマスク製造を中心に行っていたが、2021年からはTシャツやトートバッグなどの布製グッズの製造を開始。TxF150-75導入以降は、DTFを活かして製造量を拡大。現在は、ゼッケン、タオル、たすきなどの応援・観戦・販促グッズなどもメニューに加わっている。

DTFプリンタの並ぶ多度工場4階フロアは、グッズ製造を行う物販部門のフロアとなっており、約12人のスタッフがプリントからプレス作業まで行う。特に、一人が複数の作業を行える多能工の現場づくりを目指しているのも特長で、「このフロアの大半は、昨年9月からスタートしたスタッフばかりですが、全員がグッズ製造を行えるようにしています」とプリプレス課の鈴木綾氏は語っている。それが同社の機動力となり、大量受注にもスムーズに対応できる基盤となっている。


服部のDTFプリンタ制作見本(パーカーの背中にプリント)

服部のDTFプリンタ制作見本(パーカーの背中にプリント)


なお同社で製造しているDTFによるグッズは、スポーツウエア類、アニメキャラクターグッズ、アイドル系グッズなど多岐にわたる。最近ではウエアの専門業社からの受注も生まれているなど新たな可能性が見えてきている。

こうした動きを背景に、インバウンド需要への対応や、外国人観光客から人気の高いアニメ系グッズの製造などが期待できるとし、コラボレーションにも積極的に取り組んでいきたいと考えている。そのため、従来からの顧客企業だけでなく、アニメコンテンツを扱っている企業や出版社、スポーツ関連企業などへもグッズ製造を提案しながら新規開拓を目指している。

加えて同社ではハロゲン・リンを含まない難燃剤も開発(特許取得済)し、同業他社への販売も行っている。様々な取組みを通したコラボレーションの道も探っており、「チャレンジしていかなければ市場は厳しいまま。新しいビジネスを生み出していきたい」としている。


企業・団体プロフィール

  • 名称服部株式会社
  • 業種のぼり・旗・幕の製造販売
  • 住所愛知県名古屋市中区栄2丁目14-19
  • 電話番号052-221-1331
  • URLhttps://www.hattoribana.co.jp/

導入した製品

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