品質は向上、作業時間も短縮
Monti Mod.901-2000導入の決め手
- 真空オイルヒーターでムラのない仕上がり
- 立ち上げタイマーで働き方改革も
プレス機革新でスムーズに
昇華転写用プレス機というと、プリンタの後処理を行う付帯・補助設備の印象が強いが、上西産業では「Mod.901-2000 」が品質の安定に加え、仕事の効率化や働き方改革へも大きな役割を担っている。
作業工程は「プリント→転写→裁断→縫製→仕上げ→出荷」という流れ。
同社では「TS34-1800A」など5台の昇華転写用インクジェットプリンタが稼働しており、ここでプリントされた転写紙と生地を熱で圧着し、着色していく。作業効率の良さから夜中にプリンタで出力することもあり、その生産量は800m。これを朝からプレスしていく。このためプレス機へのスムーズな流れをつくることは非常に重要になる。
圧倒的作業効率を実現
上西産業では今年(2019年)3月、昇華転写用プレス機「Mod.901-2000 」2台を導入。同機導入による効果は非常に大きい。製品導入のきっかけは、15年以上使った他社製プレス機に寿命が来ていたこと。2年ほど前から次の機種の選定を始めた。従来の機種は国内メーカーのものだったが、経年劣化が激しく、ローラーの左右に温度差が生じる上、全体にムラが出ていた。これらにより転写時に色が変わってしまう不具合もあり、オペレーターが長年の経験を生かし苦労しながら転写していた。
また、立ち上げ時にはローラーの温度を上げる必要があるが、これに3~4時間程度かかっていた。そのうえタイマーでの立ち上げが不安定で、温度が上がり過ぎた場合に危険であることから、毎朝少し早く出社した社員が手動でスイッチを入れるというひと手間があった。
同社特販部転写課の山﨑 久和係長は「これが非常にストレスになっており、オペレーターをはじめ社員の負担は少なくありませんでした。」と振り返る。
「Mod.901-2000」では、立ち上げ時間は2時間程度まで短縮。それもタイマーで始動できるため、社員が早出する必要がなくなった。実は以前の機種では、退社時もスイッチを切ってから1時間は温度が下がるのを待たなければならず、これもストレスだったが、「Mod.901-2000」は冷却機能があり、スイッチを切ってすぐに帰宅できる。
これにより、稼働時間は朝に2~3時間、夜に1時間伸びており、従来機に比べ作業効率が飛躍的に向上している。
安定のオイル式&サポート
「Mod.901-2000 」選定の理由は、「オイル式であること」と山﨑係長は振り返る。オイル式は稼働状態での温度変化が少なく、温度ムラも非常に少ないことが特徴だ。
「Mod.901-2000」の場合、メディアと生地により異なる温度管理やテンションコントロールも数値化されており、以前の機種のように専任オペレーターの勘を頼りに転写時の色合いを見ながら調整するといった作業が抑制された。
操作も1日研修を受ければほぼ理解できるそうで、今では専任オペレーターが休みを取っても、リピート品や扱いなれた素材による転写であれば、他のオペレーターが仕様書を見ながら作業ができるようになり、標準化に成功。全体の品質も向上したという。
一方で「海外製品の場合、部品調達リスクが心配」というのは、導入企業では共通の思いだ。しかし、この点について、転写オペレーターの北岸 拓さんは「従来からミマキさんのサポートには信頼感がありました。プリンタの故障でも、電話サポートで解決することが多く、改善しない場合も、翌日にはサービスエンジニアが来社してくれて、一緒に課題解決に取り組んでくれます。ですからイタリア製のマシンでも安心して導入できました。」とサポート面の強さを評価してくれた。
のぼりや旗などの販促品の製作は、納期が短く、一般的には1週間程度、急ぎのものでは即日納品という品もある。注文は取引企業からはもちろん、近年ではネット通販からも入るため、機械の稼働はひっきりなしで、入れ替え時間以外8割程度は運転している。「機械の調子が悪いから」と言って、出荷を止めるわけにはいかないのが現状だ。
「出荷を止めない対応をしてもらえるのが、ミマキさん」と山﨑係長。この点でも手放しに近い信用がある。
導入で変わった働き方
導入により「立ち上げ作業の簡略化」「品質の安定化」「作業の標準化」「冷却装置による終了作業の簡略化」などは大きな効果が上がった。中でも、「立ち上げ作業」と「終了作業」がスムーズになったことで、作業時間が2~3時間伸びた上、社員の必要就業時間が逆に1~2時間削減。「働き方改革」の一助にもなっている。
ファブリック系のプリントは、近年の環境問題や五輪などのスポーツイベントでの活用、取り扱いのしやすさから注目されている分野。「もっと仕事を多く入れても、しっかりと生産できる」と山﨑係長。
「お客様の便利屋であれ」が信条の同社、新たな武器「Mod.901-2000 」を手に入れ、さらなる発展を見せそうだ。
上西産業株式会社
上西産業は1972年、園芸用品や日用雑貨の会社として設立され、「お客様の便利屋であれ」の信条のもと、顧客ニーズを取り込みながら創業時とは異なる形に発展してきた。特に園芸店の販売促進で使用される「のぼり」の製作には多くの需要があり、徐々に布へのプリントビジネスに軸足を移していった。
同社の製作技術を劇的に変えたのが、ミマキエンジニアリングの昇華転写用インクジェットプリンタと、ミマキが日本で販売しているモンティアントニオ社(イタリア)の昇華転写用プレス機だ。
現在は、のぼりをはじめ、旗や祭事・イベントで使われるはっぴ、変わったところでは「よさこい」の衣装などのファブリック(布もの)系が出力の中心となっている。
<導入製品>
昇華転写プレス機:Monti Mod.901-2000
昇華転写インクジェットプリンタ:TS34-1800A
企業・団体プロフィール
- 名称上西産業株式会社
- 業種販促資材制作、祭事資材制作、通信販売事業
- 住所滋賀県甲賀市水口町新町2丁目2-18
- 電話番号0748-62-1820
- URLhttps://www.jonishi-sangyo.co.jp/