キヨシ・プリント(神奈川県横浜市):Tx300P-1800

課題
改善
手捺染の技術を活かしながら、さらに幅広いニーズに応えられるようデジタル化を図りたい。
版が必要ないため、小ロット・多品種に対応でき、短納期での生産が可能に。出力する色数に制限がないため、デザインの幅も広がった。

家業として身につけた捺染の技術とデジタルを融合


加藤 則明社長

加藤 則明社長


Tx300P-1800導入の決め手

  • デジタル捺染への挑戦
  • サポート体制への信頼

横浜に受け継がれる
「捺染」の職人として育って


120年以上の歴史をもつ「横浜捺染(なっせん)」をご存知でしょうか。1859年に横浜港が開港したことを機に花開いた捺染の技術は、豊かな水を有する横浜の環境とともに大きく発展し、現在でも横浜が誇る「染め」の文化として継承されています。

父が横浜の南区に(有)清捺染工場を創業したのは、昭和23(1948)年のことでした。男3兄弟の次男として育った私は、自然と家業の道へと進み、結果として兄弟3人とも捺染の世界に。捺染の職人として技術を身に付けながら、会社としては自動捺染機を導入してインドの民俗衣裳であるサリーを生産、輸出するなど規模を拡大していきました。


Tx300P-1800

Tx300P-1800

独立したのは10年ほど前。MIMAKIさんとは6年ほど前からのお付き合いですね。たまたま知り合いからTx-1600を中古で買ったのがきっかけです。
その後Tx2-1600を経て、現在メインで動かしているのはTx300P-1800。導入当初は使い勝手の違いもあってトラブルも多かったのですが、サービススタッフが真摯に対応してくれたので、逆に信頼が増しました。これまで培ってきた捺染の知識や技術を活かし、もっと自由な発想でお客様のニーズに応えていきたいと思っていた自分にとって、MIMAKIとの出会いは必然だったのかもしれません。


Tx300P-1800でできることを越えていく


Tx300P-1800は、生地を搬送しながら、そこに直接インクを吐出するインクジェットプリンタです。用途によってインクが選べるのですが、現在は当社にとって最も需要の多い、綿、麻、シルク等に対応できる反応染料を導入しています。

さらにうちでは、本来酸性染料でないとプリントできないウールも、反応染料で出力しています。ウールは動物性の素材であるため、アルカリ性の反応染料で染めると生地が脆化(繊維が分解され傷む)するのですが、そこで活かされるのが「捺染」の知識と技術です。デジタル捺染の場合、プリント前に生地全体に糊を塗布する前処理を行うのですが、その糊の種類や配合を変えることで、ウールにも問題なくプリントできるようになりました。「捺染」はもともと糊と染料を混ぜた色糊で染める技術ですから、その知識を元に試行錯誤した結果、ベストな配合を見つけたというわけです。


シルクへの印刷

シルクへの印刷


ウールへの印刷

ウールへの印刷


また、薄い綿へのプリントも成功させました。裏抜けどころかインクが後ろに吹き抜けるくらい薄いのですが、何度も失敗しながら探究を続け、納得できる品質まで高めることができました。お客様にもご満足いただけて嬉しく思っています。

自分はやっぱり職人なんでしょうね。Tx300P-1800でできること以上のことを、なんとかできないかって常に考えてしまうんです。それが楽しいし面白い。そうして得た新たな知識をMIMAKIさんに活用してもらえれば、なお嬉しいですね。


薄い布への印刷も可能

薄い布への印刷も可能


デジタル捺染に立ちはだかる多工程の壁


前処理の仕事風景はいまでもアナログ

前処理の仕事風景はいまでもアナログ

デジタル捺染は、プリント前の前処理も必要ですが、プリントした後の工程もいくつもあります。

出力した生地は検反した後、蒸し工場に出して繊維に染料を固着させ、綺麗に発色するよう高温の蒸気で「蒸し」ます。さらに今度はそれを水洗整理工場に出し、余分な糊を落として生地の風合いを出す高温での「洗い」を行います。その後、生地巾を調整するなどの整理仕上げをして、ようやく生地が完成するわけです。

うちは「蒸し」を横浜の工場に、「洗い」を山形の工場に出しているんですが、昨今は運賃が値上がりしているため、なかなか厳しいものがあります。昔は横浜にも蒸しや洗いの工場がたくさんあったのですが、年々その数も減ってきていて寂しい限りです。デジタル捺染に若い人たちが参入しにくいのも、このあたりに原因があるのかもしれませんね。


MIMAKIの技術力で
デジタル捺染をさらに発展させて


逆に言えば、これまで外注に出すしかなかった「蒸し」と「洗い」の工程を内製化できれば、私たちデジタル捺染に関わる人間にとっては朗報です。コスト削減はもちろんですが、これまで以上に短納期が可能になりますし、見本出力や小ロットの発注にも対応しやすくなります。

最近、営業の方に聞いたらMIMAKIさんでその工程の開発に取り組まれているとか。素晴らしいことです。ぜひ実現してほしいと思います。

大規模な工場では対応できない小さな仕事の中に、未来のクリエーターたちの大きな夢が詰まっています。彼らを応援するためにも、私自身、職人としてもっともっと新たな知識や技術を身につけていきたい。MIMAKIさんにも、新たな挑戦にむけて頑張ってほしいですね。


加藤 則明社長



キヨシ・プリント


キヨシ・プリント

1948年、横浜で父、加藤清が「(有)清捺染工場」を創業。兄弟3人で父の跡を継ぎ、横浜の伝統技術である「型染め捺染」の職人として研鑽を積む。独立後は捺染の技術を活かし、小ロット・多品種対応のオンデマンドプリントで新たな世界を切り拓いている。近年では自社ブランド商品も企画・販売。

<導入製品>
ダイレクト捺染インクジェットプリンタ:Tx300P-1800
ダイレクト捺染インクジェットプリンタ:Tx2-1600


企業・団体プロフィール

  • 名称キヨシ・プリント
  • 業種インクジェットプリント・シルクスクリーンプリント・絞り染め・無地染め等
    自社オリジナルブランド商品販売
  • 住所神奈川県横浜市中区長者町4-11-8 第3大場ビル2F
  • 電話番号045-250-0818
  • URLhttp://www.kiyoshi-print.jp/
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