「フィルムレス」でエッチング前工程の作業と時間が大幅軽減。
カスタマーインタビュー
暁化学工業 株式会社
代表取締役社長 米澤 卓也 様
導入機種:JFX500-2131、UJF-6042
1951年に銘板・ネームプレート製造業として創業以来、 暁化学工業がモットーとしてきたのは「お客様のご要望にNoと言わない」こと。
複雑多岐にわたるクライアントニーズに的確に応えるうえでエッチングやカラープリントの技術・精度は重要な要素です。同社では、省力化と将来性を検討し、2013年4月にMimakiのデジタルエッチングシステムを導入。多様な機能を活かした新分野開拓にも意欲を見せています。
保有技術として必要なエッチング
-銘板、プレートなどの製造分野で60年以上の歴史を刻んできた御社にとって、エッチングはどのような位置づけなのでしょうか。
ネームプレートや機械の銘板からバスボディやトラック等の艤装(ぎそう=完成後の車体に数々の装備を施すこと)部品や屋外看板まで、サイズの大小を問わず、当社が製造する製品のほとんどは固有部品です。住宅でいうなら、注文住宅を建てて売るようなものといってもいいでしょう。
「お客様のご要望にはNo.と言いません!」をモットーにしてきた当社では、お客様の複雑多岐なご要望に応えることは、すなわち自社の技術の幅を広げ、設備を充実させることにほかなりませんでした。金属の化学腐食作用を利用して、繊細な図柄や文字を浮き立たせるエッチングも、その一環で取得してきた技術であり、設備です。
現在、当社の全事業分野においてエッチングが占める割合は5~10%ほど。シェアとしては大きいとはいえませんが、保有技術として必要不可欠な要素です。
フォトエッチングからデジタルエッチングへ
-今回、新機種導入を決断された経緯をお聞かせください。
エッチング(フォトエッチング)は、前工程の写真製版に煩雑な手間と時間がかかります。
工程が多い分、スペースも必要でした。また、フィルムを感光させるための現像液や定着液にはきつい臭いがあるため、従業員の健康管理の面からも長年の懸案であり、廃液処理の手間やコストも懸案の一つでした。
さらに、製版の要となるフィルムが、将来的に入手できなくなるという懸念もありました。
フィルムは現在、ほぼ一社寡占状態なのですが、今後、製造・供給を打ち切るとの情報もあり、その前に新たなシステムを検討しなくてはと考えていた時に、フィルム製版の前工程をそっくり省くことができるデジタルエッチングシステムと出会ったわけです。
-Mimakiの製品を選ばれたのはなぜでしょうか。
国内外の数社から資料やサンプルを取り寄せ、当社が求める機能と製品精度を満たす機種を1、2年ほどかけて検討しました。また、先ほどお話ししたように売上げシェアとしては大きくない分野ですので、設備投資をできるだけコンパクトに抑えたい。その観点からも、シビアに検討を重ねました。
当社は以前からカッティングプロッタを導入しており、ミマキエンジニアリングのお世話になっています。最初のMimakiブランド“北斎”からですから、かれこれ20数年のおつきあいですね。
今回の導入にあたっては、そのご縁もあったのですが、サンプル出しの要求に何度も対応してくれる誠実さが決め手の一つになりました。
工業用途ですから、お客様が求める品質精度をクリアしないことには話になりません。
製品の顔となる表面品質は、後加工の技術に負うところが大きいとはいえ、その前加工の品質にも大きく影響されます。現状のデジタルエッチング技術は、繊細さではどうしても光学に軍配が上がります。それをどこまで補えるか、繰り返しサンプルを出してもらって見きわめたのです。
2013年3月にUJF-6042を、次いで4月にJFX500-2131を導入しましたが、品質精度向上に向けた試行錯誤は今も続いています。導入後のフォロー体制が細やかでしっかりしている点でも、ミマキは信頼できると感じていますよ。
時短・省力・省スペースで大型製品対応、汎用性にも期待
-実稼働から約5ヶ月(取材時点)が経過しましたが、感触はいかがでしょうか。
作業スピードが予想以上に速く、時短面では大いに満足しています。最大3m×2mサイズの大型銘板製作にも対応できるのはありがたいですね。今のところ1点でそれだけ大きなものを製作したことはありませんが、レギュラーベースの業務で、今まで最大2枚しかできなかった銘板の同時作業を、20枚体制でできるようになった点は画期的です。
作業工程そのものも減ったため、現場スタッフも喜んでいますよ。前工程が時短化・省力化できるようになった分、製品精度を決める後工程に力を入れることができます。
より高精度に、より効率よく進めるために、後工程に最適となる前工程の落とし込みの方法を模索しているところです。
-課題となっている点、ご要望などはありますか。
まだ日が浅いため、インクボリュームや全体のロス量を正確につかみ切れていないのが実情です。
価格設定に反映する重要な部分ですので、十分に調査・検証を進めていく考えです。
その他、データ転送に思いのほか時間がかかる点、作業中のバキューム音が気になる点など、改善していただけると助かる点については、順次フィードバックさせてもらいます。
-今後への展望をお聞かせください。
UV硬化機能を持つインクジェットプリンターであることを活かし、エッチングだけでなく、素材への直接印刷など新分野開拓の可能性にも大いに期待を寄せています。汎用性があることも、新機種導入の後押しになったので、今後、若い開発スタッフや現場スタッフとともに模索を続け、お客様に積極的に提案していきたいと考えます。
その一環で、昨今、増えている屋外看板や標示類のニーズに対応するためにも、耐候性能の目安となるようなメーカーデータをぜひ出していただきたいですね。来年は工場増設の予定があり、今回導入の機種にも、ますます活躍してもらわなくては。さらなる可能性に期待していますよ。
企業プロフィール
事業内容 | エッチング、焼付塗装、彫刻、板金、プレス、シルク印刷、インクジェット他、多彩な技術を複合させ、自動車部品、産業機械部品、銘板・標示板、屋内外サイン・広告等を製作・施工 |
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導入機種 |
・JFX500-2131(2013年4月)
・UJF-6042(2013年3月) |
JFX500-2131の主要用途 | 主として樹脂及び金属素材の銘板・標示板のデジタルエッチング(エッチングマスクの吹付け⇒エッチング液の噴射⇒エッチングマスク磨き)ならびにカラープリント |
企業・団体プロフィール
- 名称暁化学工業株式会社
- 住所石川県金沢市打木町東1401番地
- 電話番号TEL:076-269-4555(代表) FAX:076-269-4511
- URLhttps://www.akatsuki-kagaku.jp/