UVにチャレンジし、対応力UP
イベンタス(株)は、イベント関連のさまざまな事業を展開する企業。「イベントの総合プロモーションをワンストップサービス」をテーマに、展示会やキャンペーン、スポーツなど、イベントの企画からデザイン、制作、運営までを行う。
部門は「システムディスプレイ」「イベント・展示会・キャンペーン」「サイン事業」「デザイン・設計・内装工事」「スポーツプロモーション」などがある。
同社では2018年4月下旬、プリント&カットタイプのUV-LEDインクジェットプリンタ「UCJV300-160」を導入した。その選定の経緯や運用法、出力物のなどについて探ってみた。
UCJV300導入の決め手
- 水性からの切り替えで大幅なコストダウンが可能
- 溶剤のさらに先の技術で新たなビジネスにチャレンジ
今回、お話を聞くのは「Vサイン」という部署に所属する伊藤課長と斎藤氏のお二人。
「Vサイン」は大判プリンタを活用し、ディスプレイなどで使用される出力物やサインを生産している部署。部署名は「サインと言えばVだろう」という上司の一言で決まったそうで、昔のドラマからとのこと。
幅広い受注に柔軟に対応
このVサインの伊藤課長は「うちの部署は、社内からの受注と直接クライアントからの受注が半々で、それぞれに出力物を提供しています」と説明する。
出力物の用途内訳ではイベント関連が最も多く、続いて一般的なサインや案内板など。クライアントからの直接受注はもちろん、大手印刷会社や代理店、ゼネコンからなど、幅広い業種から仕事を受注する。納期は入稿から3日程度と、短納期にも対応しており、小回りの利くスタイルが特長だ。
水性からUVでコストダウン
同社は「JV3」「JV4」なども導入してきた古くからのミマキユーザー。「UCJV300-160」でミマキのIJPが入れ替え5世代目と、途切れることなく使い続けてきたが、UV硬化型は今回が初めてだった。水性の「JV33-130」との入れ替えで導入したものだが、伊藤課長は「水性ではできることが少なく、徐々に需要が減ってきていました。また、仕事がすでに導入済みだった溶剤系のJV33に傾いていました。私としては、溶剤のさらに先の技術と考えるUVを導入したほうが良いという意識がありました」と振り返る。
また「ラミネートをかけないことでコストを下げたい」という思いもあった。特にイベントのディスプレイでは、1日だけしか使用せず廃棄されるケースもあり、コスト的にも環境的にも「ラミをすることは無駄」と考えていた。さらに、ラミの作業工程でほこりを挟み込んでしまう可能性もあるので、リスクを減らすことも目的の一つとした。
UVインクはプリントしてもメディアに浸透しない為、ラミをしなくても貼りやすい利点もある。
「UCJV300-160」は、UV硬化型でカッティング機能も付いた製品としては、約300万円と非常に安価。このことも導入に至る追い風となった。
一方で選定にあたっては「UVのほか、溶剤、ラテックスか、水性という幅色い選択肢を考えており、そこから絞り込みました」と伊藤課長は振り返る。
導入はチャレンジ
導入を実際に進めたのはVサインで制作を担当する斎藤氏。同氏は機種選定についてこう言う。
「UV機の導入は一つのチャレンジです。同じように仕事をしてきても、少しずつ変化を加えていかなければ、今はよくてもいつかは取り残されてしまうと考えています。この事務所は森下や両国に近い都心。ここで出力できる意味を考えた機種選定をしました」。
UV機導入のどういった部分がチャレンジだったのか。
まずは「UVは素材対応力が広く、さまざまなメディアに直接出力できる点」で優れていると考え、これまでよりもさらに素材対応力を増やす挑戦をした。特に展示会でよく使われる経師紙への出力はこれまでプリンタではできなかったことだ。
同社では施行作業も一貫で行うサービスを売りとしているが、「UCJV300-160」で経師紙への出力ができるようになってから、余白のカッティング仕上げを白打ちで代替することにし、そのまま送り込みで渡せるようになった。これにより、現場で自社社員が高所作業をする必要がなくなり、大幅なコストダウンに成功した。伊藤課長も「人と工数を削減する取り組みは、どの会社でも必要です。今回は予算との兼ね合いでしたが、成功してくれたと思います」と評価する。
また、白インクの活用により、最近展示会で増えている透明メディアへも、新たにプリントできるようになった。
同社では「システムディスプレイ」と呼ばれるアルミとガラスで構成される展示用ツールの販売とレンタルを行っている。このガラス部分には透明メディアが使われることが多く、このシステムとセットでの提案が可能になった。
対応力向上へさらに努力
2020年には東京五輪が控えている。
もちろん、五輪関連で受注増加も見込めるが、東京では五輪開催の1年ほど前から、ビッグサイトの使用が難しくなり、同社の主力となっている展示会のディスプレイは一時的に厳しい状態になる。
伊藤課長は「五輪に向けて展示会の開催が厳しくなることを見越し、さまざまなものに対応できるようにしていきたいと考えています。その対策の一つが『UCJV300-160』の導入です」と語る。
同社にはデザイナーも多く在籍していることから、「さまざまなアイデアを出し、顧客を触発できるような、いいディスプレイを見せて行きたい」としている。
案件次第で出力を自在にし、さまざまなサービスを提案できる、イベンタスの取り組みに注目が集まる。
企業・団体プロフィール
- 名称イベンタス株式会社
- 業種各種イベントの企画・デザイン・施工およびそれに伴うサービス全般、看板・ネオンサインの企画~施工、SP販促品・チラシなどの企画制作 他
- 住所東京都江東区新大橋2−13−11 イベンタスビル
- 電話番号03-5638-6400
- URLhttp://www.eventas.co.jp/