現場の属人性を低減して生産効率も1.5倍に向上 導入からわずか3カ月で社内のモチベーションアップにも貢献
~これまで、やむなく断っていた繫忙期の仕事も全て受注できるCFXの"即効性"に迫る~
東京・江戸川に本社を構える稲進は、1976年の創業からラミネート加工の技術力を強みとして、主に店舗内のメニューやPOPの制作を手掛けてきた。2025年10月に50年目を迎える現在では、のぼりやタペストリー、パネル、看板、内装工事までワンストップで対応できる体制を敷く。とりわけ、コロナ禍で主要顧客のアミューズメント関連が一気に冷え込んだ際は、果敢な営業活動でこれまで縁のなかった業種を新規開拓するなど、アグレッシブな企業姿勢を持つ。そんな同社の営業力をより生かすべく、現場の生産力を高めるために欠かせなかったのが今年(2025年)3月に導入したフラットベッドカッティングプロッタ「CFX-2513」だ。新設から3カ月余りで、省人化や効率化に留まらず、社内のモチベーションアップにまで貢献した軌跡を追う。

経営戦略室 室長の福嶌武士氏
― まず、現在の主な業務内容を教えてください
当社では長年、飲食店のメニューや販促POPの制作を主力事業としてきました。次第に、アミューズメント関連などへターゲット層を広げていく中、大判プリンタやカッティングプロッタも増設していき、現在では「出力加工業」と「POP制作」の2本柱で売り上げを立てています。
インクジェット出力では、主にポスターをはじめ、フロアシートやパネルを手掛けています。設備としては、2025年3月に新設したエコソルベントプリンタ「JV330-160」や、2010年導入のフラットベッドカッティングプロッタ「CF2-0907」などを保有し、ほぼフル稼働で活躍してくれていますね。
直近ですと、コロナ禍でアミューズメント関連の販促物が一気に冷え込んだ際、様々な業種へ地道に営業活動を行なったことで、顧客層の幅も広がりました。簡単ではなかったですが、少しずつ品質と納期対応を認めてもらい、イベント・展示や化粧品メーカー、小売店など、業種業容を限定せずにクライアントを抱えるようになりましたね。当社では出力関連だけでなく、店舗の内装施工までワンストップで対応できる強みを評価され、自ずと1社の顧客から任せていただく領域が広がることは多いですね。

業界の現行機で最も生産性に優れると評価して導入したJV330。顧客の業種が幅広いことから、数多くのメディアを切り替える必要もあるため、3本のロールを同時にセットできる「メディアチェンジャー」は、生産効率を大きく高める他社機にはない嬉しい機能だったという

2010年に初導入してから現在では3台がフル稼働するCF2-0907
― では今回、CFX-2513を導入された経緯をお聞かせください
近年は、特に変形のフロアシートや等身大パネル、吊り下げパネルの顧客ニーズが高まり、受注量も毎年10〜15%ずつ増えています。このような中、小型だけでなく大型サイズも含めた、カット作業の自動化が必要だと強く感じていました。
そこで、各メーカーのマシンを検証してみたところ、CFXの使い勝手が最も良いと感じました。まず、クライアントからのデータ入稿は大半がAdobe Illustratorですので、CF2同様にそのまま直接・簡単にカットできるソフトウエア「FineCut」は大きなポイントになります。加えて、塩ビ粘着シートやスチレンボードの加工がメインとなるため、オーバースペックの他社機では持て余すとも感じました。その一方で、サイン製作で欠かせないツールは、他社機にないものまで全て取り揃えているなど、「この業界に向けてしっかり開発されている」と実感できたことから、導入を決めました。そして、為替の変動による影響を受けない点も、国産の頼もしい点になりますよね。

CFX-2513
― 実際に稼働されてみての率直な感想はいかがでしょう?
思ったよりも早い! の一言に尽きます。実用の設定で1.5倍は生産効率が上がっていますね。バキュームも強くなって、操作パネルも分かりやすく、とてもユーザビリティを高めている印象です。作業時の安全性にも配慮されており、誰でも扱えるような設計になっているため、属人性の高い業務を減らせています。実際に、使い慣れていない女性の社員からも、「気を張らずに1人で安心して稼働できる」というような声が挙がっていますね。全体の人件費で換算すると、15%前後の削減に繋がりました。
さらに、当社の繁忙期に当たるGW前の4月後半に入ると、例年ではキャパオーバーで仕事を断るケースも少なくありませんでした。それも1、2件ではなく、二桁を越えるような状況だったのですが、CFXを導入した直後とはいえ、今年は全ての仕事をスムーズにこなせたのです。しかも、昨年よりも受注量が増えているのに仕事を断らずに済み、CFXのポテンシャルの高さをすぐに垣間見る即効性を実感させてくれました。売り上げベースで見れば数百万円の違いになりますし、せっかく営業が取ってきた仕事を断るというのは、現場も避けたいです。
そういった従来の課題が解決され、素晴らしい生産性の高さだと肌で感じています。昨年までは2時間程度の残業は当たり前でしたから、繁忙期でも皆が定時で帰れるのは、社内モチベーションの向上にも貢献してくれていますね。その上、改善の難しい1〜2%という不良率まで解消されるなど想定以上の働きぶりで、今後の人手不足を考慮して早くも追加導入を本格的に検討していますよ。

近年、同社で受注量を大きく伸ばす等身大パネルのサンプル
― 今後、CFXでチャレンジしてみたい製作物などはいかがでしょう
ようやく繁忙期も越えたので、Vカットツールは早く活用できるようにしたいですね! 従来ですと、ボックス成形はパネル同士を差し込んで製作していたのですが、この辺りの効率化はもちろんのこと、平面だけでなく立体的な造形物にも挑戦してみたいと考えています。段ボールなどの什器製作も社内で可能になったため、より仕事の幅を広げていきたいですね。
― これまでミマキで良かったと思うようなエピソードはありますか?
10年ほど前の話になりますが、翌日に急ぎの仕事を控えている中、たまたまCF2の刃が折れてしまったことがあって、当社のストックも運悪く切らしていて……、どうしようと営業の方に相談した経験があります。すると、その方が朝一番に部品を抱えて駆け付けてくれたのです。今でも、当社の語り草になるほど印象的な出来事でしたし、ミマキさんのフットワークの軽さには何度も助けられてきました。
― 最後にCFXの導入を検討しているユーザーに一言コメントをお願いします
国内に競合となるマシンは多く流通していますが、当社ではアフターフォローも念頭に入れてCFXを導入しました。検討段階におけるスペックやコストの比較はもちろん重要ですが、何かあったらすぐに駆け付けてくれる安心感は、日頃の仕事をスムーズに回す上で欠かせないと思っています。そういった安心感は、購入前でも営業マンの対応から会社の姿勢が窺えるものです。マシンを見るのも大切ですが、私としては営業マンがいかに親身になってくれるか、という点を重視することをお勧めしますね。
企業・団体プロフィール
- 名称株式会社稲進
- 業種ラミネーター・ラミネートフィルムの販売、ラミネート加工、大判インクジェットプリンタ販売、サインサプライ販売、デザイン・印刷・出力サービスなど
- 住所東京都江戸川区上篠崎3丁目11-7
- 電話番号03-5664-3412(東日本エリア)/ 06-6354-2233(西日本エリア)
- URLhttps://www.inashin.co.jp/