ターポリン横断幕メイン機に昇格
UCJV300導入の決め手
- 短期看板のラミ工程削減が可能
- 隠蔽性の高い高濃度印刷で対応メディアが増やせる
憧れのUV機が低価格で
今回の「UCJV300-160」の導入は、伊藤課長が「実はUV機が憧れでした」と、以前からの念願だったことを吐露する。
「UCJV300-160」はプリントに加えカット機能がついて約300万円。
「この金額は溶剤と変わらす、以前では考えられないもの」と伊藤課長。
出力速度も溶剤系と比較しても遜色ないレベルに仕上がっていた。
溶剤では表現できない高濃度白インクを使ってのプリントも魅力的で、これがあることにより、さまざまなメディアへの出力に可能性が広がることも導入を後押しし、従来からあったプリント&カット機の保守終了に合わせて入れ替えを行った。
プリント品質に大満足
導入後に感じるのはその品質の良さ。
伊藤課長は「実は私、印刷会社にいたことがあるので、UVの特性を知っていました。溶剤に比べUVはトーンが落ちて、沈んだ色になるかと思っていましたが、まったくそんなことはなく発色はいいです。膜厚がしっかりとありながら、さらっとしたインクの特性がいい方向に出ており、仕上りが気に入っています」と品質にお墨付きを与える。
出力物では、1カ月以内といった短期の掲出物の場合はラミネートをかけずに、そのままの質感で納品可能で、その分1工程少なくなっている。顧客からは「UVなら発色も良く、溶剤のように塩ビが侵されにくいため、ラミなしでの貼り施工も簡易である」という声をもらっているという。このことから工程短縮と顧客満足を同時に実現できている。
UV硬化型インクは乾燥時間がゼロであるため、後加工まで待つ時間がなく、作業効率も向上した。
「UCJV300-160」の導入で有色素材への高濃度プリントが実現
溶剤機では白地のターポリンにイエロー含めフルプリントしていた横断幕。
黄色地のターポリンに文字部分だけプリント可能になり、大幅なインクコスト削減に繋がった。
導入後メイン機に昇格
同社が受注する横断幕の仕事は、1ロットで1枚からというものもある。また大工事の場合は50枚程度を出力することもある。サイズは1m×6mが基本で、大きなものでは2.5m×12mまである。
これまで大きな出力物の印刷が途中で止まってしまい「頭を抱えてしまう」ことがあったそうだが、「UCJV300-160」はそのようなトラブルがなく安定しているという。
1m×6mの横断幕の場合、印刷時間は30分程度。納期は通常2週間程度が前提だが、緊急の場合は原稿が来てから3日以内で納めることもあり、そのような短納期の対応も「UCJV300-160」が大活躍しているという。
同社には「JV300-130」が1台稼働しており「こちらをメインに使おうと思っていた」そうだが、伊藤課長がスクリーン印刷のような色合いを気に入っていることもあり、「UCJV300-160」がいつの間にかメイン機に昇格してしまったという。
同機の特長の一つは「プリント&カット」で、カッティングプロッタとしての機能もある。
カット精度が高く、文字の外側を太らせることができない場合でもピタリと抜ける。また、トンボマークが打ってあれば「JV300-130」で出力したシートでも微調整の必要がなくカットできる。
以前使用していた他社プリント&カット機ではカットできなかった、厚いシートもカットできるようになり、「カット機能についても重宝しています」と評価が高い。
溶剤に比べ出力物の扱いやすさが違う
多く使うメディアはターポリンで、溶剤系IJPで出力していた塩ビもUVで刷ることが多くなった。
さらには白インクの特性を生かし、高透明メディアにも対応する。
伊藤課長は「白インクを生かすなら透明メディアへのプリントは必ず出てきます。カットして文字を生かすなどの展開もできるので重宝しています」。
白の隠ぺい率高く、透明、有色メディアに「白を引くことで水色がきれいに出るようになった」という。
出力の前後作業はどうだろうか。
溶剤系インクの場合、プリント前にメディアに触ってしまった時、インクの載った部分に指紋の跡が浮き出るという不具合があったが、UVではこれはほとんどなくなった。
また、後加工や掲出の現場でも、UVインクの密着性の高さや耐擦過性が生きている。横断幕などではミシン加工の工程があるため、その時に文字が擦れてしまい気になることがあったが、「黒ベタで特に目立っていた擦れ傷がほとんどなくなりました」と伊藤課長。非常に強く伸びのあるインクに信頼を寄せている。
顧客からの反響も、出力の品質は「きれいだ」という声が多い。特にスクリーン印刷を多く扱っている業界からの評価が高く、安心感がある。
木村社長は「ミマキのプリンタは安心して導入できた。今後もより良い出力物を多くのお客様にしっかり届けていきたい。そのための機材なので、さらに性能を向上させ、機能を高めていってほしい」と期待を述べる。
木村看板株式会社
木村看板(株)は1929年、初代が本所江東橋に店舗を構えて営業を開始した看板店。創業当時は手描き看板が中心で、木村哲也社長も手描きから入った職人だ。
1987年にはカッティングプロッタを導入し、カッティング部門新設。
インクジェットプリンタ(IJP)も1990年代後半には導入するなど、他社に先駆けて機械化も進めてきた会社でもある。
同社は2017年12月、プリント&カット対応のLED-UV硬化型IJP「UCJV300-160」を導入し、新たな一歩を踏み出した。
木村看板は、創業期にはその書き文字の技術が買われ、近隣の築地市場の魚河岸や築地場外の看板を多く手掛けた。今でも同社の製作した看板や案内表示板が、築地市場に多く掲げられている。
木村社長も手書き看板はもちろん、銭湯のペンキ絵まで描いたことがあるという。
現在は、サインや案内表示のIJPによるプリントや製作、マーキングフィルムのカッティング、これに加えて手刷りのスクリーン印刷でベニヤにプリントなどを事業の中心にしている。
同社の仕事で現在もっとも多いのは「横断幕」で、それも首都高で掲出される「道路工事のお知らせ」が8割を占める。「UCJV300-160」は、これらの横断幕の製作で力を発揮している。
木村看板がミマキエンジニアリングの機器を最初に導入したのは7年ほど前、溶剤系IJP「JV33」の導入にさかのぼる。同社のオペレーターで、同社企画デザイン室の伊藤光夫営業課長は「『JV33』の時は他メーカーも検討しましたが、他社から聞いたミマキと製品の評価が非常に高く、デモやサンプルを見て、製品導入に至りました」と振り返る。
企業・団体プロフィール
- 名称木村看板株式会社
- 業種各種看板・広告物品等企画・製作・販売・塗装
- 住所東京都江東区三好4丁目8番14号
- 電話番号03-3641-0707
- URLhttp://www.kimura-kanban.co.jp/