ビジュアル化と大型化が顕著になったサイン業界。 グランドフォーマットの新JV5が次の一手に。
■株式会社ローヤルカラー(東京都豊島区)
(業種:カラープリント全般・写真撮影・加工・仕上げ全般、電子画像処理全般、写真用品に関する商品の販売、屋内外展示広告物の制作・施工、企画宣伝の代行・パンフレット作成など)
コマーシャルイメージング事業部 導入機器:ソルベントインクジェットプリンタ「JV3シリーズ(130、250)」 ソルベントインクジェットプリンタ「JV5シリーズ(160、320)」 マルチ・カッティングプロッタ「CG-130FX」(2台) 水性インクジェット(10台) ラムダ(銀塩出力機)(2台)
左:常務取締役兼コマーシャルイメージング事業部長
吉田清三郎さん
右:生産部次長 高橋三之さん
【予想以上に早かったデジタル化の波】
同社の創業は昭和39年。カラー写真の需要拡大とレジャー&情報産業の将来性に着目し、初代社長が発起人となって発足。コダック社の優秀な技術および機械を導入し、コダックカラーフィルムの専門現像所としてスタートした。以後、着々と営業網の整備・拡大を行い、関東・甲信越を中心に幅広い営業拠点を持つ業界大手である。
現在、同社の市場はアマチュア写真家をターゲットにした「コンシューマー市場」がおよそ6割、コマーシャル写真をはじめとする「プロフェッショナル市場」が残りの4割である。
同社がデジタル化に着手したのが平成3年ごろ。それまでは、イラスト・絵柄・文字等をマスク作業によりインターネガに焼き込んで原稿を作成していたが、コダック社のプレミアを導入しデジタルでインターネガに出力する手法を採用した。アナログとデジタルの融合とでもいうべきこうした作業は、すぐに MacintoshによるDTPに移行し、技術者の手によるマスク作業から完全にパソコンによるデータ作業に変わった。
その後、平成8年には業界初の取り組みとしてスコッチプリントシステムを採用。この年が本格的なデジタル化元年となり、2年後にはアメリカ製のインクジェットプリンタをいち早く導入し、インドア向けの展示パネルを制作していた。常務取締役兼コマーシャルイメージング事業部長の吉田清三郎さんは、同社のデジタル化の流れをこう振り返る。
「業界は現像ラボ・デュープラボ・プリントラボ3つに分けられます。デジタルカメラ等の出現により現像とデュープはすでにデジタル化され、ローヤルカラーは、いわゆるプリントラボですが、現場施工以外はデジタル化されると思います。写真業界におけるデジタル化の波は予想以上に早かったというのが実感ですね」
【プロラボからサイン&ディスプレイ業務に発展】
吉田常務が部長職を兼務する「コマーシャルイメージング事業部」は、先に触れたコマーシャル写真を扱うプロフェッショナルラボが母体となっている。近年、この「プロラボ」の仕事が拡大して、百貨店のウィンドウディスプレイをはじめとするサイン&ディスプレイ業務を手がけるようになった。
同社では4年前にJV3を導入後すぐに同型機種を増設し、昨年にはいち早く160mm幅のJV5を投入した。時期を同じくして、カッティングマシンCG-130FXを2台揃え、展示会等のブース造りも積極展開している。
「JV3は出力スピード、画質とも十分満足できるマシンです。価格面でも導入しやすいのが魅力でしたね。ただ1つ問題となったのは溶剤系特有のインクの匂いでした。作業場内の環境が悪化し、どうにかならないかと思っていたとき、匂いの少ないSS2というインクが開発されました。当社はこれまで海外メーカーのマシンを使ってきましたが、その多くは新しいシステムが開発されると既存機種には対応しないケースが多く、詰まるところ『これまでのマシンは捨て、新しいマシンを買ってくれ』というスタンスです。しかし、JV3は同一マシンで、なおかつ改造も一切必要なく、そのまま新しいインクが使えました。こうしたユーザー本位の発想はMimakiならではだと思います」
【発売直後にJV5-320Sを導入。現場で欠かせないマシンに】
同社のサイン&ディスプレイ業務は、店内装飾等のインドア、屋外広告等のアウトドアに大きく分けられる。主にインドア系の業務は他社製のインクジェットプリンタをメインに使い、アウトドア系は溶剤系のJV3・JV5の出番となる。制作現場を指揮する生産部次長の高橋三之さんはサイン業界の現状をこう語る。
「平成10年の長野オリンピック以降、国内におけるサインは写真を多用したビジュアル化が進むとともに、大型化が顕著になったと思います。当社でもバスやビルのラッピングなど、大型プリント出力が増えてきました」
平成19年夏、同社は国内最大3,250mm幅のプリントを実現したグランドフォーマット・ソルベントインクジェットプリンタ「JV5-320S」を発売直後に導入。JV5シリーズの高画質・高速性能を受け継いだ大型マシンはすぐに第一線でフル稼働し、もはや現場に欠かせないマシンとなった。
「大型マシンにも関わらずとにかく速いですね。たとえば、12m² を印刷するのにJV3-250だとおよそ3時間かかりますが、JV5-320Sはたったの30分。『スピード=コスト』と考えれば、タイムフィーは比べものになりません。また高画質なので駅のコンコースなどの至近距離の大型サインにも対応できます」
インタビューの最後に、吉田常務はこう締めくくってくれた。
「マシンの高性能化は日進月歩です。そしてまた、クライアントニーズもますます多様化しています。そうした中で『もう少し待てばもっといい機種が出るだろう』と立ち止まっていたら、いずれ仕事はなくなるでしょう。設備投資額が少しぐらい高くても、ある意味で“先に導入した者が勝つ”の世界です。つねに前を見て、時代の空気を先んじて読むことが、サイン業界で生き残る術ではないでしょうか」
企業・団体プロフィール
- 名称株式会社ローヤルカラー
- 業種カラープリント全般・写真撮影・加工・仕上げ全般、電子画像処理全般、写真用品に関する商品の販売、屋内外展示広告物の制作・施工、企画宣伝の代行・パンフレット作成など
- 住所東京都豊島区