カット作業の効率や精度を高め、新規顧客も開拓 品質第一の少数精鋭企業が太鼓判を押す、カッティングプロッタ「CFX」のコストパフォーマンスと拡張性
~早くも導入後5カ月で加工テーブルを拡張した狙いに迫る~
イベントや展示会の装飾関連を主力とするプリントハウス・カネコでは、毎月の製造実績を5年間欠かさずにWebサイトで公開。その受注量は右肩上がりで成長を続け、現在では当初に比べて約4倍の仕事をこなす。それにも関わらず、従業員数は5人と少数精鋭を貫いたまま、同社が強みとする品質を日々向上させているというから驚きだ。
超高齢化社会の2025年問題に直面する現在、急激な仕事量の増加は嬉しい悲鳴となりかねない状況下、本稿では同社の取り組みから省人化や生産効率を高めるための鍵を考察したい。

代表取締役の金子玲史氏
— まず、貴社の創業経緯を教えてください
私が大手出力ベンダーやサイン製作会社で、15年近く培ったインクジェット出力・加工の経験をもとに、2011年に自宅で創業しました。すぐに、ブロック玩具やPOPパーツメーカーの展示装飾を任せてもらい、思いのほかクライアントに仕上がりの良さを評価していただき、大きな達成感を得たのは今でも鮮明に覚えています。
それも当時、初めて自身で購入したミマキエンジニアリングの溶剤機「JV33」の印刷品質が後押ししてくれたお陰だと感謝しており、同機とともに当社は歩んできたと言っても過言ではないと思っています。
— その後の変遷はいかがでしょう?
お陰さまで創業の翌2012年には東京・新宿で法人化を果たし、仕事もお客さんの紹介で広がっていき、コロナ禍に入るまでは営業なしで順調に業績を伸ばしてきました。とはいえ、コロナ禍ではイベント・展示関連の仕事が完全にストップし、本当に頭を抱えましたね。しかし、私はどんなに苦しい時でも、安売りだけは絶対にしないという思いを貫いてきたと自負しています。
当社はお客さんにクオリティを評価いただき、それによって仕事の輪が広がっていきました。ですから、私にとって品質は欠かせない唯一無二の武器と言えるのです。
— 創業から10年近く、営業活動を一切しなかったとは驚きです。どのように顧客満足度を高めているのでしょうか
手前味噌にはなりますが、現在ほど色調整の簡単ではないデジタル印刷の黎明期からプリンターに毎日触れてきたので、インクジェット出力に対するノウハウにはもちろん自信を持っています。それと、イベント・展示関連でも基本的にはラミネートを必ずかけたり、カット作業も機械化して精度を高めたりと、一見小さな差が品質に大きく影響を与えます。
展示会など短期屋内掲出だとラミは不要と思われるかもしれませんが、現場目線で見ると施工不良の要因になりやすいのです。カットも、手作業と機械では正確性に差が出るのは明白ですよね。
当社では創業時からカッティングプロッターを導入し、次いで法人化した翌年にもフラットベッドタイプの「CF2-1218」をいち早く設置するなど、後加工の自動化は積極的に進めてきました。
例えば、人の手で正円を切るときの時間と労力を想像してください。機械なら設定さえしっかりすれば一瞬ですよ。イニシャルコストばかりに目を奪われるのではなく、その後の人件費など包括的に比べれば電卓を弾くまでもないほどの差だと思います。

2013年からカット作業の省人化に貢献するCF2-1218
— なるほど、現在は後加工での差が自ずと品質にも影響を与えるのですね
JV33の頃からミマキプリンターの画質や高生産性に支えられ、さらにカッティングプロッターのCG-130FXII PlusやCF2による後加工が製作物のクオリティを一層に高めてくれています。
2024年に手狭となった工場を東京・板橋に移転した際には、新しくフラットベッドカッティングプロッター「CFX-2513」を導入しました。ハーフやシート、パネルカット、Vカットのツールを搭載し、等身大パネルなど大型サイズの後加工もワンストップで行えるようになり、生産ラインの高効率化に一役買ってくれています。

2024年にはより一層の対応力と効率化を図るため、CFX-2513を新たに導入し、さらに2025年5月にはCFX-2531へ拡張した
— それでは、CF2とCFXの導入背景や稼働状況を教えてください
12年ほど前になりますが、CF2を導入した理由としては当時に複数社のマシンを検討したところ、基本的な使い勝手が最も優れていたからです。それと、一度でも使うと分かると思いますが、ミマキクオリティというか、どの機種も品質に一定の安定感があるのですよね。やはり、そこはマシン選定ではとても大きな要素になります。
CFXは、最大100cm/秒の加工速度を生かした、生産性の向上と対応力の強化を目的に導入しました。繰り返しとはなりますが、ミマキは実際に使ってみたら欠点が見つかるというケースはほとんどなく、CFXも見込み通りの働きぶりで、より一層の高効率化も図れています。嬉しい点としては、Adobe Illustratorから直接カッティングできるソフトウエア「FineCut」が標準添付されていることですね。私だけでなく、あまりマシンに詳しくないパート社員でもすんなりと作業できています。これは、他社機にはない決定的なメリットのひとつですね。CF2とCFXで本体の操作感も変わらないので、ストレスフリーに作業できる点も助かっています。
稼働状況としては、両機ともにほぼフルで活躍してくれています。CF2では主にパネルやポスターのカット作業、CFXはさらにVカット、折り機能を生かした加工も行なっています。Vカットの加工精度も優れていて、スチレンを折り込んだ小さなPOP(写真下)などもきれいに仕上がり、すでに何社かで取り入れていただいています。CFXを導入して什器等も作ることができるようになったので、これからも色々と作っていきたいですね。

立体POP【BOXパネル】(材質:スチレンボード)
CF2の導入前は2名体制で手切り加工を行っており、1日100カットほどが限界でした。CF2導入後はカットできる枚数に大きな変化はなかったものの、1名で100カット対応できるようになったので、人件費がまず浮きましたね。
さらに今回のCFXの導入によって、1日300枚以上のカットが可能になり、作業の大幅な前倒しが可能になりました。月当たりの受注数を増加できたのに、以前は1日2~3時間あった残業時間がゼロになり、利益も上がって、CFXを導入して良かったことばかりです。
導入後すぐにA2パネルを200枚ほどカットする仕事が入り、作業に2日は見込んでいましたが、4時間で終わってとても驚かされましたね。
— 具体的に、CFXに対する満足度や使用感などはいかがでしょう?
満足度を聞かれたら、本音で100%ですよ。スタッフも、残業がかなり減って喜んでくれていますね(笑)。
5月中旬にはCFX-2513からテーブルサイズを1ランク上げて、3,190×2540mmのCFX-2531へと拡張する予定です。2531は、加工中でも次の4×8板を前後反対のエリアへセットでき、(トグル機能による)タイムロスのない連続カットが可能ですので、生産効率の向上へより一層貢献してもらいたいですね。
カット作業はサイズが大きくなればなるほど、人の手だと効率が落ちてしまいます。そういった面でも、約3.1mサイズのカットを自動化できるのは、単純に効率化へとつながります。加えて、展示会のブース高は2.7mがほとんどですので、そこも1枚物で製作できるようになるため、今まで取れなかった仕事を積極的に獲得していきたいですね。CFXを導入してからまだ5ヶ月しか経っていませんが、増えた利益で営業人員を増やしてさらに受注数を増加させるところまで達成できたので、テーブル拡張をしたCFX-2531でさらに効率化して受注数を増やせるのではと、期待しています。
また、特急作業は通常よりも高い単価で仕事を請けられるので、高効率なCFXを使って急ぎの仕事を積極的に受注し、他社と差別化・高品質なサービス提供を図りたいですね。うちなら早かろう悪かろうでなく、早く品質の良いものを提供できるので、その点については自信があります。
— 導入後のアフターなどに対する率直なご意見はいかがでしょう?
JV33の頃から変わらず、何かあったらすぐに駆け付けてくれるので、逆にびっくりします。マメだなぁって思いますね。加えて、国産という点も考慮してCFXを導入しています。部品交換などで時間を要したら、生産性の強化や効率化を図った意味がなくなってしまいますからね。
— 最後にCFXの導入を検討しているユーザーに一言コメントをお願いします
この価格帯で、この性能という点を鑑みれば、コストパフォーマンスは圧巻です。使ってみて不満な要素もなく、もし迷っている方に相談されたら、太鼓判を押してお勧めしますね。
企業・団体プロフィール
- 名称株式会社プリントハウス・カネコ
- 業種印刷・加工業
- 住所(工場・事務所)東京都板橋区大山金井町48-7 浦田ビル1F
- 電話番号03-6905-9183
- URLhttps://phkaneko.jp/