伝統の水引工芸3代目が始めたアクリルグッズ作成 プリンタ保有台数中四国ナンバーワンへ:マルショウ株式会社様

課題
改善
伝統工芸品の生産から、新たな事業へ転換したい
4年でアクリルグッズの売上が全体の8割に!

導入した製品

伝統の水引工芸3代目が始めたアクリルグッズ作成
プリンタ保有台数中四国ナンバーワンへ

マルショウ(株)は昭和44年(1969年)、愛媛県四国中央市で設立。篠原徹郎社長の祖父である正成氏が京都の水引店で修行し「愛媛県でも水引文化を広めたい」と店舗を開業した。愛媛県は、結納や婚礼を華やかに行なう地域ということもあり、京都で得た技術は大いに受け入れられた。その技を受け継いだ徹郎氏の母である啓子さんは、愛媛県が認定する「えひめ伝統工芸士」にも認定されている。

2020年にミマキの「UJF-7151 plus」を導入し、一気に業態を転換。今は水引ではなくプリンティングの会社に生まれ変わりつつある。業態転換のきっかけや、そこで行なったこと、現状、そして将来像について、篠原社長に話を聞いた。


マルショウ(株) 篠原徹郎社長

マルショウ(株) 篠原徹郎社長


コロナきっかけに業態転換


―― 水引を家業にされてきたとのことですが、プリント事業を開始した背景は?

祖父が創業した水引の事業は、地元に根付いて愛されてきたものです。当社のある四国中央市が「紙のまち」として知られており、水引は相性のいい商売でした。またその技術は県の「伝統工芸士」の認定も得ており、全国、いや世界に誇れるものです。

しかし、盛大に行われていた結納や結婚式も徐々に地味になり、結納や結婚式自体をしないという人たちも増えていきました。特に新型コロナウイルス感染拡大以降は、結婚式などの延期や中止が相次ぎ、当社の事業自体が大きな転機を迎えていました。

このことから、次のビジネスを考えなければ、という思いが強くなっていったのです。


水引でつくられた「宝船」。社長の母の啓子さんは「えひめ伝統工芸士」に認定されている

水引でつくられた「宝船」。社長の母の啓子さんは「えひめ伝統工芸士」に認定されている


―― 「UJF-7151 plus」導入は2020年11月でしたね。導入の直接のきっかけは


水引の需要が落ちていた時期に、私も多方面で新たな仕事を模索していました。その中で、アクリルキーホルダーのアッセンブリ(袋入れ)の仕事があったのです。有名アニメのグッズだったのですが、まったく畑違いの仕事に「こんな市場もあるのか」と目が開く思いでした。

調べてみると非常に市場のすそ野が広く、多くの仕事があり、魅力的なビジネスだと感じました。

仕事をいただいた企画会社に問い合わせたところ、元請けの工場を紹介していただき、私と当社のデザイナーが伺いビジネスの概要を教えてもらいました。さらにはその会社から仕事をいただけることになり、そちらの会社で稼働していたミマキエンジニアリングの「UJF-7151 plus」とレーザー加工機を導入することにしたのです。


「UJF-7151 plus」の導入は2020年11月。現在は「UJF-7151 plusII」も含めて9台を保有

「UJF-7151 plus」の導入は2020年11月。現在は「UJF-7151 plusII」も含めて9台を保有


―― 導入に際し、金額的にまた操作の不安などはなかったですか?


金銭的には「ものづくり補助金」を使用し、大きな負担なく導入できました。もちろんまったく不安がないというわけではありませんでしたが、多くの方が相談に乗ってくれたので心強かったです。

操作の面は元請けの工場に私自身が行って学び、導入してからはミマキの担当者の方にも教えていただくことで、商品として出荷することに問題のないプリントができるようになりました。

―― 社長自身がプリントされたのですか?

そうですね。導入当初は、自分しかプリンタを操作出来なかったので、昼間は水引やプリントの営業をして、夜はプリンティングのオペレーターという生活がしばらく続きました。

プリンティング業界は、水引に比べて納期が短いので、夜遅くまで、ときには寝ないで仕事ということもありました。仕事はデータを入力し、プリントを始めた後はプリンタのそばにいて、終了後にアクリルグッズが載った治具を取り換えるというものでした。大変さはありましたが、始めたばかりでも仕事をいただけるという喜びの方が大きかったので頑張れました。

最初から商品がつくれる「UJF-7151 plus」

―― 「UJF-7151 plus」の性能や機能については

まったくの素人でしたので、最初は性能も機能も分かりませんでしたが、お客様からは「問題がない」といわれる品質の商品ができました。最初から水準以上のものをつくれたので、その点では扱いやすい機械であったのは間違いありません。今、当時作った商品を見ると「こうしておけばよかった」「もっときれいに作れたのに」と思うところがあるので、オペレーター次第で伸びしろのある機械だとも思います。

ミマキさんのグッズ用のプリンタでは最上位機種ですし、生産性も高く短納期が多いグッズプリントで比較的数を多く出力するのであれば、これを選ぶのは当然かと思います。

―― 現在、プリンタは何台設置されているのでしょうか

UJF-7151 plus」が8台、「UJF-7151 plusII」が1台あります。

最初の1台を入れて1年たたないうちに6台まで増設しました。プリンタの取り扱いを当社の社員に教えて、私自身は営業開拓に力を入れたことで、導入半年あたりから徐々に仕事が増えていきました。その結果、生産が追い付かなくなることがあり、その度に設備を増やしていったという感じです。

取引先は、最初から取引のあったグッズ製作の工場を持つ会社や、セールスプロモーションの会社、キャラクターグッズの代理店、または権利者など。生産品は圧倒的にアニメや漫画のグッズが多いです。


生産するのはアクリルグッズで、レーザー加工機でカットも可能

生産するのはアクリルグッズで、レーザー加工機でカットも可能


―― 生産が追い付かないほどなのですね


驚くほど仕事は多いですね。さらには短納期なので、それに応えられる会社ということで当社が指名されるようです。よくあるのは、注文された商品を納めたところ人気でリピートをいただくケースです。

―― どういった形でリピートされるのですか?

忘れられないのは、あるカフェチェーンの仕事。まずは1万個納品し、その1週間後に電話があり「2000個をリピートでお願いしたい」と連絡を受けましたが、その直後に「5000個にしてほしい」さらには「やはり1万個すぐに納品できないか」と増えていき、最終的には数度のリピートで7万個を納品しました。

その時はまだプリンタが3台、レーザー加工機が2台だったので、私が寝ないで作っていました。今はもっと多くの生産が可能なので、安心してご発注いただきたいです(笑)。西日本でこれだけ生産できるところが少ないので、当社に多くの仕事をいただけるようです。

現在の売り上げは、水引事業が3割ほど、プリンティング事業が7割となり主業が逆転しました。

新工場へ移転も「成功はこれから」

―― わずかの間に大きな業態転換に成功されましたね

「成功したね」と地元の先輩や仲間からも言われますが、まだその実感はありません。無我夢中でプリンタを買って、何とか技術を覚えて、今も必死でいただいたお仕事をしているといった状況で、まだまだチャレンジャーだと思っています。

成功はまだですが、ある年の暮れにお客様から電話があり「クレームかな?」と構えたのですが、「篠原さんのおかげでいい一年になりました。ありがとう」とお礼の電話をいただいたのです。いつもは品質に厳しいお客様からの言葉は、本当にうれしかったし、プリント事業を始めてよかったと思いました。

―― 今後の展開や将来の展望をお教えください

本社・工場が手狭になり、今年9月、近隣に移転することになりました。当社では、プリントからアッセンブリまでを行なうため、もっと広い場所をと以前から考えていたのですが、広い作業スペースがとれる環境が実現します。

また、移転に合わせて「UJF-7151 plusII」を2台追加し中四国では最大級の保有台数となるので、さらに大量に短納期の仕事をお請けできる体制が整います。グッズもアクリルだけでなく、レザー缶バッジや布製品のプリントも視野に入れています。多品種・短納期など、難しい仕事でも、当社にご相談ください。

インクジェットプリンタに出会い、仕事が増えたことは本当にありがたかったです。当初何も知らない私に仕事を教えてくれた工場の方たち、私が始めたチャレンジを一緒に進めてくれた当社の社員、そして僕を信じて仕事を任せてくれた父(博行氏)にも感謝しています。

これからもお客様から「ありがとう」といわれるよう、がんばって品質の高い仕事を続けて行きたいと思います。


篠原社長はプリンタの新たな使い方も模索。サンプルはお子さんの絵をプリンタで複製したもの。UVの厚盛りプリントでクレヨンを表現している

篠原社長はプリンタの新たな使い方も模索。サンプルはお子さんの絵をプリンタで複製したもの。UVの厚盛りプリントでクレヨンを表現している


企業・団体プロフィール

  • 名称マルショウ株式会社
  • 業種キャラクター製品のOEM事業、水引の製造
  • 住所愛媛県四国中央市妻鳥町1435
  • 電話番号0896-58-2472
  • URLhttps://www.marushou-mizuhiki.jp/

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