「UJF-7151 plus」や「DCF-605PU」等を導入いただいているシンクイノベーション株式会社様の事例が、オーダーグッズ情報誌『OGBSマガジン』 Vol. 81(2022年11月号)に掲載されました。
以下に掲載された記事を原文のままご紹介いたします。
UV約40台で1ヶ月に10万個生産!グッズの雄が見据える未来図とは?
進撃の巨人、呪術廻戦、東京リベンジャーズ──。下請けとしてこれら人気アニメのグッズを製作した経験を持つ業者は多いが、正式なライセンスを取得し、自社商品として製造、販売している業者は少ない。その1社がシンクイノベーション(株)だ。
創業は2014年。元々楽天市場などで中国から仕入れた雑貨やiPhoneケースなどをエンドユーザーに販売していたが、年商が1000万円を超えた頃に在庫が増えすぎたため、無地素材にUVプリントする手法に切り替えた。

シンクイノベーションの社内にはミマキエンジニアリングの「UJF-6042MkII」や「UJF-7151 plus」など、約40台以上のUVプリンターがズラリと並ぶ。
「すると、UVプリンターとデザインさえあればいくらでも商品が作れることに気が付きました。UV1台からスタートし、それが15台を超えた2018年頃に、メーカー向けの商品製造をはじめようと、OEM事業部を立ち上げました」と同社の三輪直之社長。
雑貨業者向けに始めたOEM事業は順調に成長し、UVプリンターが35台、年商は10億円を超えた。しかし、iPhoneケースがやがて無くなると考えていた三輪社長は、様々なUVプリント用商材を開発。扱い商材の幅を大きく広げ、現在はiPhone以外の商材が8割以上に。さらに布プリントも必要だと考え、DTGや各種転写製法にも取り組んだ。最近ではDTFも導入し、iPhoneケースの購入者にアパレルを提案するなど、商材の豊富さとオンデマンド機を活かしたビジネスを展開している。

シンクイノベーション(株) 三輪直之社長
コロナ禍をきっかけにより小ロット多品種に
順調に見える同社だが、コロナ禍の影響は大きかった。
「中国での大ロット生産に影響があり、より小ロット、より多品種化が必要だと考えました。そこで1個からデザインも請け負う体制を整えるために、営業やデザイナーを一気に12人増やしました。売上が横ばいの状態で固定費が増えた。そこを調整するために、新しい取り組みをはじめています」。
2021年にMD事業部を立ち上げ、OEM事業で培った人脈を元に人気アニメのライセンスを獲得。1年で28ものビッグタイトルを手掛けるように。これで同社は、エンドユーザー向けのEC事業、メーカー向けのOEM事業、ライセンスを扱うMD事業の3本柱を立てることに成功。クライアントに対し、企画からデザイン提案、試作、量産、パッケージまで全て請け負える体制を整備。ロゴを1つ送るだけでいくつものデザインパターンを作り、1~3営業日でサンプルが完成し、量産の相談もできる……という、顧客にとってありがたい存在に成長した。

シンクイノベーションの社内ではミマキエンジニアリングのUVプリンターやレーザー加工機を設置し、無地商材へのプリントやアクリルへのプリントをおこなっている。同ビル内の別フロアには溶剤プリンターなどを設置し、様々なグッズを製造。また、名古屋市内にあるもう1つの拠点ではDTGやDTFプリンターを導入し、布製品にプリントしている。
販売実績のある無地商材300種類以上を販売開始
さらに同社は新たな挑戦として、UVプリント用無地商材の販売をスタート。同社が商材の幅を広げるために開発してきた無地商材の数は300以上。下の写真はその一部だが、定番商材以外にもサンダル、コインポーチ、ハンドミラー、バッジなど、多数の販売実績を持つ人気商材を揃えている。これらをただ販売するだけでなく、対応治具の販売や治具データの提供もおこなう。さらにコンサル契約を結べば、ホームページの作り方や販売方法のアドバイスもおこなう。三輪社長は、
「UVの扱いは簡単ではないと痛感しています。そこで当社が培ってきた知識や技術を提供し、UVユーザーが商売を拡大できるように様々な面でサポートします。UVの稼働率が上がれば、自然と当社の商材も売れてくれるはず。機械販売もスタートしたので、これからビジネスを始める方でも、包括的にバックアップします」。
なお、同社はミマキエンジニアリングとタッグを組み、「Club Mimaki」(下写真)で無地商材を販売開始。同社の無地商材は袋から取り出したらそのままUVプリンターにセットできるようにフラットな状態で納品されるので、手間が減らせる。生産効率の面でも大きく貢献してくれるだろう。

同社が販売する無地商材の一部。スマホケースなどの定番はもちろん、他で見かけない商材がほとんど。

ミマキエンジニアリングが展開するサプライ品や商材を購入できる「クラブミマキ(https://club.mimaki.com/)」。シンクイノベーションのUV用無地素材約120種類を購入することができる。
もう1つの挑戦が、(株)ミマキエンジニアリングの「DCF-605PU」によるアクリルコーティングの普及だ。コーティングされたアクリルキーホルダーをライセンス契約している大手出版社などに提案し、プリント面が傷つかないことをアピール。好感触を得たそうだ。
「これが認められると、今後の注文はコーティングが前提となる。他の出版社にも広まれば、下落しているアクリルキーホルダーの製造価格も改善するはずです。コーティングで工程は増えますが、当社ではそれが当たり前になることを見据え、追加でDCF-605PUを導入予定です」。

ミマキエンジニアリングのデジタルコーティングマシン「DCF-605PU」。
3つ目の挑戦が、(株)ミマキエンジニアリングの3Dプリンターによる全く新しいキーホルダーの作製。クリアインクを使うことで、アクリルの中に立体的なフィギュアが封入されたようなデザインにすることで、誰も見たことがない商品を開発中だ。
オンデマンド機の特性をフルに活かして1個からの小ロット、自社開発した300種以上の多品種、企画からデザイン提案、量産までできるオーダーグッズ事業者は稀な存在。同社が目指す未来がどんな実を結ぶか、注目だ。
企業・団体プロフィール
- 名称シンクイノベーション株式会社
- 業種UV印刷・転写印刷事業、OEM事業、テキスタイル印刷事業 など
- 住所愛知県名古屋市中区栄1-29-27 東海商事ビル 4・5F
- 電話番号052-212-8595
- URLhttps://sync-innovation.co.jp/