銘板業界の将来を見据え、進むオンデマンド化。 より一層のデザイン性が求められる時代に。
■三鷹製版株式会社(愛知県豊川市)
(業種:各種銘板(金属・樹脂)製造、シール・ラベル製造ほか)
導入機器:UV硬化インクジェットプリンタ「UJF-605C」
代表取締役社長 鷹巣秋廣さん(左)
営業担当取締役 鷹巣太地さん(右)
【材料加工から製品化まで一貫して受注】
平成17年(2005)4月に創業50周年を迎えた同社は、銘板・シール・ラベル印刷をメインに多種多様の印刷業務を手掛ける中堅企業である。印刷のみならずその前段階である材料加工から請け負い、最終的な製品化まで一貫して行うのが同社の強味だ。
現在、豊川市内に3つの拠点を持ち、板金・アルマイト染色・シルク印刷・オフセット印刷を行う「本社工場」(二見町)、DTP・版下製作を行う「野口事業所」(野口町)、金属塗装を行う「牧野工場」(牧野町)とに業務を分散している。板金・塗装・印刷の各種業務が1つの企業でワンセットになっているケースも珍しい。ちなみに、社名にある「製版」の文字は、創業当時の柱であった製版業務の名残である。
以上の3拠点の中で、Mimaki製品はDTP・版下製作部門に導入されている。今回は、名古屋鉄道豊川線・八幡(やわた)駅より徒歩約10分、住宅街に位置する野口事業所を訪ねた。
【銘板はなくてはならない大切なサイン】
同事業所の生産部版下作成グループの部屋に入ると、1台の「UJF-605C」がフル稼働していた。ここでは主に同機を使って銘板(シートパネルやタッチパネルに貼り付けるキーシート)の試作品をつくっている。とくに工業製品に使われる銘板を多く手掛けており、そのカテゴリーはコピー機、TVリモコン、医療機器、木工機械、油圧ポンプ、魚群探知機などまで広範囲に及ぶ。ちなみに、完成品は大きく金属製と樹脂製に分かれ、使用される条件や環境によってその耐久性が問われることとなる。たとえば、機器・機械に貼り付ける警告ラベルは、温度や耐光性など過酷な条件下で使われることを想定してつくられなければならない。表示の見やすさやわかりやすさに加え、いかに耐久性を保つかが企業としてのノウハウの部分である。代表取締役社長を務める鷹巣秋廣さんに、Mimaki製品を導入した理由、使い勝手などについて聞いてみた。
「これまでの試作品はすべてシルク印刷で行っていました。どんなにシンプルなものでも色ごとに版をつくらなければなりません。コスト削減と時間短縮のためにインクジェットプリンタのようなマシンが欲しかったですね。また、試作品なのでボタン位置の変更を指示されるケースも多く、そうした場合、インクジェットなら即座に対応できます。結果として業務全体がスピーディになり、製品の納期も短縮できました」
「UJF-605C」導入後、同社では小ロットで色数の多いものをインクジェットプリンタで行い、単色または2色のものは従来通りのシルク印刷で行っているという。すべてがインクジェットに移行するというわけではなく、用途に応じて使い分けることでさらなる効率化が実現したようだ。
【次世代の銘板をつくっていきたい】
では、印刷のクォリティについてはどうなのか。社長の次男であり営業担当を務める鷹巣太地さんに話を聞いた。
「シルク印刷よりもグラデーションがきれいです。試作品のクォリティとしては申し分なく、オフセット印刷に匹敵するぐらいの精度です。近年、銘板自体もデザイン性に富み、カラフルなものが好まれる傾向にあるので、今後はグラデーションの魅力をフル活用したキーシート類を提案していきたいですね」
実際に銘板業界の展示会等では、いままでになかったデザインのサンプル品提案ができるようになったという。それと連動して同社では、これまで以上にデザイン力のある人材が求められるようになった。銘板業界もオンデマンドの時代を迎えつつあり、同社ではそれに先駆けて平成18年(2006)6月よりWeb展開による銘板の受注をスタート。クライアントを全国区まで拡大させ、数年後にはオンラインショップによる受発注を行っていく予定だ。
また近い将来、3つに分かれている事業所を1つに集約し、業務部門の統合や新設も視野に入れつつ、新社屋を建設する予定であるという。「既存の銘板屋から一歩前進し、次世代の銘板をつくりたいと思っています」と言う太地さんの言葉そのままに、創業50周年を過ぎたいま、同社は新たなスタートを切ろうとしている。
企業・団体プロフィール
- 名称三鷹製版株式会社
- 業種各種銘板(金属・樹脂)製造、シール・ラベル製造ほか
- 住所〒442-0044 愛知県豊川市二見町83番地
- 電話番号TEL 0533-85-4351 / FAX 0533-84-7165
- URLhttps://www.mitaka-seihan.co.jp/