『撮影背景シート』のオンラインショップを開設:前川印刷株式会社様

課題
改善
コロナ禍で成長した業態を拡充させたい
UCJV300をはじめとした機器の導入によって業務の幅を拡大。今後もデジタル印刷事業を成長させていく予定。

導入した製品

UCJV300」「UJF-6042MkII」「UJF-3042MkII」を導入いただいている前川印刷株式会社様の事例が、印刷業界情報誌『デジタル印刷ビジネスBook 2023秋 』に掲載されました。

以下に掲載された記事を原文のままご紹介いたします。


『撮影背景シート』のオンラインショップを開設
“水と空気以外の全ての物に印刷”に注力


前川印刷株式会社(広島市)は今年6月、合成紙を利用した『撮影背景シート』のオンラインショップを開設した。商品の撮影で利用するもので、約100名のカメラマンとの取引実績から、今回、小規模事業者や店舗、個人へとサービスを広げた。同社は“水と空気以外の全ての物に印刷”を掲げ、約15年前から一般的な用紙以外の印刷に力を入れている。合成紙を利用した『撮影背景シート』もその一環。そうした戦略の方向性を支えているのがミマキエンジニアリングのUVインクジェットプリンターである。


代表取締役社長の清川氏

代表取締役社長の清川氏


フードデリバリー向けから開始 “ミマキのファン”に


同社は1968年に活版印刷業として創業し、伝票を中心に業容を広げてきた。現在では総合印刷会社として、商業印刷、事務用印刷など様々な需要に応えるほか、アクリル製品や木札・木製品、缶バッジ、Tシャツなどの印刷を取り込んでいる。

コロナ禍の真っただ中で業績を伸ばした業態の一つが、飲食店で提供される料理を宅配するフードデリバリーサービス。PC、スマホから簡単に注文することができるため、巣ごもり需要を取り込み、急速に利用が拡大した。2021年、同社では日本に進出したばかりの外資系フードデリバリーサービスから、自社のサイトに掲載する料理写真の撮影用背景シートの相談を受けた。

「料理を見栄えさせるもので、本国からシートを取り寄せるということでした。撮影するのは日本各地の専属カメラマンです。その都度、本国から取り寄せると手間と時間がかかるので、日本でできないかという相談でした」

同社の清川典史社長は、専属カメラマンとともに素材やラミネートなどを選定しながら1ヵ月をかけてフードデリバリーサービス会社用の『撮影背景シート』を開発。各エリアの撮影スタジオに向けて出荷を開始した。

『撮影背景シート』は料理の撮影に使うため、耐水性、耐油性が必須だった。同社では素材のベースに樹脂を含有した合成紙に印刷し、ライトの反射を抑えるためにマットPP加工を施した。これにより、一般的な用紙に印刷した使い捨て撮影シートに比べてしわになりにくく、丸めて保管して再利用することができる。

一方で、カメラマンは、他の撮影用途でフードデリバリーサービス会社用に印刷した『撮影背景シート』を使うことができない。清川社長は出荷先のカメラマンの中から他の撮影でも使いたいという要望が寄せられたことから、オンラインによる受注・販売を構想。今年6月、オンラインショップを立ち上げて、全国のカメラマンをはじめ、小規模事業者や店舗、個人向けに『撮影背景シート』の提供を開始した。

オンラインショップには45種類の絵柄が用意されている(10月19日現在)。70cm×100cmのサイズで価格は4,800円(税別)。オリジナルサイズも受け付ける。サイトには、デジカメ編とスマホ編に分けて、プロのカメラマンによる撮影のレクチャーを掲載。不慣れな人向けに照明の当て方や撮影方法を伝えている。

『撮影背景シート』のサービス開始に当たっては、ミマキエンジニアリングのUV-LEDインクジェットプリンター『UCJV300』を導入した。

「既設のソルベント系のインクジェットプリンターでは色が不安定でした。一点ものが多かったのでクレームはなかったのですが、フードデリバリーサービス向けに同じ製品を繰り返し提供していくには色の安定性が不可欠でした。カメラマンと相談しながら辿り着いたのがミマキエンジニアリングのプリンターです。色の安定性には問題なく、サービスを始めることができました。卓上型UVプリンターも2台使っており、ミマキファンですね」

『UCJV300』はカッティング機能を搭載していることからステッカー需要にも対応するほか、パネル用の印刷でも活躍。ほとんどフル稼働の状況で、すでに初期投資分を回収したという。


撮影背景用シートを出力するミマキエンジニアリングのUCJV300

撮影背景用シートを出力するミマキエンジニアリングのUCJV300


レーザーカッターで治具を自作


清川社長の“水と空気以外に…”という方針の背景にあるのは、紙以外のメディアを取り込んだ事業領域の拡大。清川社長は紙の印刷需要の減少を見通して、2010年7月、ミマキエンジニアリングのデスクトップタイプLED方式UV硬化フラットベッドインクジェットプリンタ『UJF-3042』を導入し、布石を打ってきた。

2010年に導入したA3判対応『UJF-3042』は現在、『UJF-3042MkII』にアップグレード、入替え。2021年にはA2対応の『UJF-6042MkII』を新設し、オリジナルの記念品やノベルティ製品の生産体制を強化している。

「水と空気以外に印刷したいという想いは、ずっと社内で言い続けてきました。昨年8月にホームページを刷新してからは色々な方面から相談を持ち掛けられることが増えています。突然、電話がかかってきて、こういうものができますかと」

同社のホームページには、前川印刷の公式LINEにアクセスできるQRコードが貼られている。170人以上が友だちに登録しており、個人からLINEを経由して様々な相談が入る。例えば、家族の喜寿祝いに贈る時計の文字版の印刷や、寄贈用の椅子への名入れなど、個人から受けた相談にその都度応えてきた。

顧客が確認するためのサンプルは実際の素材に印刷、加工する。イメージしやすい上に、サンプルを見た顧客が「素晴らしい出来ですね」と、そのまま納品を望むこともある。レーザーカッターや液体ラミネーターを揃えているため、自社内で即座にサンプルを作成することができる。

「この機械はこれしかできない、という使い方をしていません。他の機械と連携しながらモノを作っていきます。レーザーカッターで治具を作成し、フラットベッドインクジェットプリンタで印刷したり、ステッカーに液体ラミネートを掛けたりします。配電盤に印刷して欲しいという時にも自社で治具を作りました」

清川社長はデジタル印刷の利点を生かし、知り合いの飲食店向けにロゴ入りアクリルスタンドを勝手に作って店の各テーブルに置いた。来店客が料理と一緒に撮影してSNSにアップすると飲食店のPRになる。当初、疑心暗鬼だった飲食店の店主が効果を感じると「いいですね」と評価してくれるという。自社のSNSにもその様子をアップして、同社の“水と空気以外…”の認知度を上げている。

デジタル印刷事業はまだ既存の印刷事業のボリュームに至っていない。しかし、10年以上前に種が芽を出して成長している。清川社長は「まだまだ試行錯誤しているところ」というが、“革新”の方向に向けて着実に会社の歩を進めている。


アクリルグッズ等を印刷する『UJF-6042MkII』(手前)『UJF-3042MkII』(奥)

アクリルグッズ等を印刷する『UJF-6042MkII』(手前)『UJF-3042MkII』(奥)


UJFとレーザー加工機によるアクリルキーホルダー

UJFとレーザー加工機によるアクリルキーホルダー


企業・団体プロフィール

  • 名称前川印刷株式会社
  • 業種印刷業
  • 住所広島県広島市安佐南区長束1-1-14
  • 電話番号082-875-2113
  • URLhttps://www.mpr.co.jp/

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