3DUJ-553で3D造形の手間と時間を削減&フルカラー出力を有効活用して用途を大幅拡大:東京大学様

課題
改善
これまでは、3Dプリンタでの出力に時間がかかることに加えて、研磨、着色などの後処理に手間がかかっていた。また、発色があまり良くなく出力が思い通りにならないことがあった。
一度に出力できるサイズが大きくなり、手間と時間を大きく削減。削る、磨くといった後処理も必要ないレベルで出力できた。また、着色作業が必要なく3Dデータのまま色を表現できるようになり、用途が広がったことで様々な学部のオファーを実現できるようになった。

導入した製品


3DUJ-553で3D造形の手間と時間を削減&フルカラー出力を有効活用して用途を大幅拡大


まず、自己紹介をお願いします。

東京大学 工学系研究科 国際工学教育推進機構のものづくり部門に所属している、矢口と申します。
ものづくり部門では、東京大学の学生や研究室などで3Dプリンタをはじめとした高精度機器を使用する際、マシンの使用方法説明や技術的なアドバイスを行っております。


東京大学工学系研究科国際工学教育推進機構ものづくり部門の矢口さん

東京大学工学系研究科国際工学教育推進機構ものづくり部門の矢口さん


弊社の3DUJ-553を所有することになった経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか?


元々、3DUJ-553は東京大学内の別の研究室が導入していたのですが、色を使ったCGデータを作るのが難しく、我々のように全学を対象にデータを受け入れている部門で管理した方が良いだろうということになり、ものづくり部門への導入に至りました。

普段はどういったものを出力されていますか?

出力する機会が多いのは、工学系のシミュレーションの結果を可視化したモデルです。ノベルティや記念品といったものもあります。
特にシミュレーションの結果は、後から自分で色を塗るのが難しいので、フルカラーで出力できる強みを十分に活かしていると思います。


実際に3DUJ-553を使って出力されたサンプル

実際に3DUJ-553を使って出力されたサンプル


ものづくり部門は東京大学の学生なら誰でも利用できますが、学生は3Dデータ自体を作れる人がまだ少なくて、特に色まで含んだものとなると、なかなかそこまでできる人は少ないのが現状です。実際のところ、学生の利用よりは教員やイベントでの利用が多いですね。
例えば中高生向けの講座を開催するので、持ち帰れるノベルティのような記念品を作りたい、といったリクエストを受けたこともあります。その際は、中高生の方が作ったものの形状をスキャンして取り込んだあと、縮尺や色をデータ上で調整して、ミマキさんの3Dプリンタを使ってフルカラー出力して最後に渡しました。


矢口さんの考える3DUJ-553の魅力を教えてください。

まず3Dプリンタのなかでも造形できる範囲が広いですよね。約500ミリ×500ミリが一度に出力できるので、ノベルティを作る場合もかなりの量を一度に作れて、大変助かっています。
また、例えば他の3Dプリンタは、精度が良いマシン、強度が出るマシンなど、それぞれ得意とすることがあるのですが、3DUJ-553のようにフルカラーで出力できると、別軸で表現の幅を広げられるイメージがあります。見た目を重視するときに、フルカラーの選択肢があるのは非常に大きいですね。

色の発色も旧来のフルカラー3Dプリンタと比較しても綺麗だなと感じています。3DUJ-553はかなり色がビビットになりましたし、想像していた色に近づけやすくなりました。
あとは、3DUJ-553自体の魅力とは少し違うかもしれませんが、困ったことがあったとき、ミマキのサポートの方が迅速に対応してくださる点も、非常に助かっていますね。

3DUJ-553を使った、ものづくり部門の今後の展望はありますか?

我々としては、例えばヒューマンマシンインターフェースのように色が重要な分野でこそ、3DUJ-553を使ってほしいと考えています。これからアピールも含めて、どんどん利用促進していきたいですね。

あと、我々の部門は産学連携ということで、外部の企業様にも開放しております。我々が所属するものづくり部門へ無料で登録していただければ、企業様もご利用いただけますので、東京大学の内外含めてユーザー層の拡大を図っていきたいと思います。






東京大学ものづくり部門の3DUJ-553を利用して、日立東大ラボと総合研究博物館が主催する展示「都市 –スマートシティトウキョウ2030」の作品を出力した、東京大学 学際情報学府 学際情報学専攻 博士課程の坂本さんにもお話を聞きました。


東京大学学際情報学府学際情報学専攻博士課程の坂本さん

東京大学学際情報学府学際情報学専攻博士課程の坂本さん


では、今回の展示の趣旨を教えてください。


そもそもスマートシティとは、IoTやAIなどのビッグデータを活用して、都市機能の効率化や最適化を目指す都市自体のことを指します。近年、世界中でスマートシティの取り組みが行われておりますが、日本もスーパーシティ構想やデジタル田園都市国家構想といった、国単位でのプロジェクトの推進もあり、全国の都市や自治体でスマートシティの取り組みが行われています。

一方で、本当に解決すべき都市の課題が今までの取り組みで解決しているかというと、まだYESとは言い切れない状況です。今回の展示会である「都市 –スマートシティトウキョウ2030」は、主催である日立東大ラボのハビタット・イノベーションという取り組みで行われてきた研究に加えて、東京大学で行われてきたスマートシティに関する研究や実践、自治体の取り組み、都市計画の歴史などを踏まえて、改めて2030年の東京でスマートシティを実践するなら、どういうものが考えられるのか、みんなの想像の種のような場所にすることが、今回の展示の趣旨です。


坂本さんの展示「Scale City」

坂本さんの展示「Scale City」


坂本さんの展示はどのような内容なのでしょうか?


国や企業が持っているデータをいろんな人が使えるようにするオープンデータ化という取り組みがありまして、そのデータを使って都市がどうなっているのか、一目でわかるようにしたのが今回作った「Scale City」という作品です。
一般的には、都市を開発するのは行政やディベロッパーと呼ばれる企業ですが、一番その都市のことを知っているのは実際に住んでいる地域住民ですよね。3Dの都市模型とデータを組み合わせることで、より直感的にデータを理解しやすくなり、開発側と住民側がお互いに都市の現状を理解して、住んでいる方たちの本当のニーズを引き出すことができるのではと思い、作成しました。
こちらの作品は、周りの白い部分は別ですが、真ん中の90cm×30cmの透明な部分を、ミマキさんの3DUJ-553を使って出力しました。


半透明の部分を3DUJ-553で出力した作品

半透明の部分を3DUJ-553で出力した作品


3DUJ-553を使ってみて、いかがでしたか?


以前使用していた3Dプリンタだと、10cm四方の出力物を1日がかりで出していました。それに対してミマキさんの3DUJ-553は、同じ時間で30cm四方のものが作れるので、時間がかなり短縮できた印象です。
また、一度に作れるサイズが大きいので何回も出力する必要がなく、データを分割して作り直す手間も削減できましたね。出力したパーツが多いと繋ぎ目の境界線が気になることもあるのですが、今回はそういった点でも心配がなく、クリアの透明度も高かったので、非常に良いものができたと考えています。

あと、他社の3Dプリンタだと底面が垂れるので、垂れた部分を削ってさらに透明になるようにコーティング剤を塗る…といった後処理が必要でしたが、ミマキさんの3Dプリンタはサポート剤を取るだけだったため、非常に楽でした。
比較的低コストでこの仕上がりなら十分良いなと思いました。

展示品のデータ作成から出力まで、実際にやってみていかがでしたか?

3Dデータは国土交通省の「PLATEAU(プラトー)」というサイトで公開されているものを使ったのですが、ここにこういう建物があって…とイチからデータを作る必要がなく、さらにコンピュータ上で製図するためのCADソフトやCGソフトにあまり馴染みがなくても、自分なりに試行錯誤することで3Dプリントができた経験は、非常に大きかったです。
3Dプリンタでの出力は今回で2度目でしたが、問題なくこなせました。

次回の研究への意気込みはありますか?

そうですね。今回は全体を3分割して東京大学本郷エリアを出力したのですが、本来の目的である自治体のコミュニケーションの場に使ってもらいたいので、今後機会を頂けるのであれば、色々な地域を3Dプリントしてみて、より深く活用できる方法を地域の人たちと探求したいです。
あと、衛星写真のデータもありまして、3Dプリントしたものに建物の色が付いていたら、より一層理解が結びつきやすいので、実際に見えている状態に近いフルカラーで3Dプリントをすることも試してみたいと思います。


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