3DUJ-553が解剖学モデルに色彩を与える:フィレンツェ大学とボンパンのコラボレーション

コラボレーション
MIMAKIの取り組み
フィレンツェ大学とミマキのイタリアの代理店ボンパンとのコラボレーションが解剖学研究に本質的な進歩をもたらせた。
フルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」で、3Dスキャンした人間の心臓を高い色精度で再現。

使用した製品

フィレンツェ大学は情熱、技術、そして決意を持ち、Mimakiのイタリア代理店であるボンパンと共にMimakiのフルカラー3Dプリント技術を活用したことで、”解剖学モデル製作における本質的な進歩”を遂げることができました。


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3Dスキャン、3DUJ、統合アルゴリズムの組み合わせで実現したリアルな心臓モデルを披露するジェラーティ氏

3Dスキャン、3DUJ、統合アルゴリズムの組み合わせで実現したリアルな心臓モデルを披露するジェラーティ氏


解剖学モデルの”リアルさと精密さ”は、すべての医師において効果的な教育、研修、専門分野研究の場を確保する上で、常に重要な役割を担ってきました。

フィレンツェ大学医学部で解剖学研究を行っている准教授で医師のFerdinando Paternostro(フェルディナンド・パテルノストロ氏)と、研修医のGiacomo Gelati(ジャコモ・ジェラーティ氏)は協力して、人体形態学の大きな進歩といえる解剖学モデル製作方法を開発しました。

現在、人体解剖学の教育や研究では、献体(解剖学用に提供された人体そのもの)の解剖が効果的な方法とされています。しかし、実際に献体を扱うためには、腐敗しやすい人体組織の保存方法や、法的な問題、1回限りの解剖で献体が破損してしまうことなど、さまざまな問題がありました。


誰もが利用できる解剖学の標本を目指す


ジェラーティ氏は、パテルノストロ氏の教えを受けながら、解剖学に没頭していました。しかし、解剖学を学ぶ上ではいくつかの困難がありました。まず、彼には限られた献体を実際に解剖できるチャンスがありませんでした。さらに、教育現場で使われている図解の内容は平面的で静的なものばかりでした。

ジェラーティ氏は、医学や解剖学を学ぶ者にとって、解剖標本が本物の色や形で表現されることの価値を知っており、その標本を実際に体験することでどれほど大きな違いが生じるかも知っていました。

「私たちは明確な目的があり、いくつかのツールを組み合わせることで、それらの課題を解決しました。」
それは、3つの異なる3Dスキャン技術と統合アルゴリズムを利用することで、ジェラーティ氏は解剖学的な人体構造を忠実に3Dグラフィックで再現するシステムを作ることができたのです。その結果、表面と内部の両方からあらゆる角度で見ることができる、立体的なモデルの表現が可能になりました。また、そのモデルは色彩や構造、解剖学的な位置関係など、物理的にも本物の臓器に忠実であることも大きな特徴です。

「美しく、効果的な3Dグラフィックイメージは手に入ったので、そこで私たちはそれらを立体的で、扱いやすく、壊れにくい実物の模型として製作できないかと考え始めたのです。そして、私たちにとって重要な要素である色の再現性に着目すると、すぐに3Dプリント技術を検討しはじめました。」とジェラーティ氏は語ります。


3DUJ-553を活用し、新たな価値を創造する


ボンパンにある3DUJ-553で出力した心臓モデルを発表するフィレンツェ大学のGiacomo Gelati(ジャコモ・ジェラーティ氏)(左)とFerdinando Paternostro(フェルディナンド・パテルノストロ氏)(右)

ボンパンにある3DUJ-553で出力した心臓モデルを発表するフィレンツェ大学のGiacomo Gelati(ジャコモ・ジェラーティ氏)(左)とFerdinando Paternostro(フェルディナンド・パテルノストロ氏)(右)


こうして2人は、ボンパンが提案するMimakiのフルカラー3Dプリンタ技術と出会います。

フィレンツェ大学チームとボンパンは、世界で唯一、1,000万色以上の色表現とクリア表現ができるMimakiの3Dプリンタ「3DUJ-553」を使い、最初の解剖学モデルとして心臓を実際に3Dプリントすることに成功しました。

パテルノストロ氏とジェラーティ氏は、Mimakiのフルカラー3Dプリンタによって、製作された立体的な心臓モデルは正確なサイズで細部まで鮮明に再現することができており、そして何より、色の再現性が非常に高いことに驚きました。
「私たちは、非常に幅広い色域でフルカラー3Dプリントができるこの技術に感動し、解剖学モデルにおける本質的な部分で進歩させることができました。」

そして、パテルノストロ氏は、なぜ解剖学において色の知識が不可欠なのかを説明します。
「手術や解剖室で目にするさまざまな解剖学的な臓器の構造は、それぞれ固有の色を持っており、さまざまな他の臓器の色に囲まれています。解剖学的な臓器の構造の識別は容易ではなく、そこで色が重要な役割を果たすのです。」

チームの目標は、3Dプリントされたモデルの色品質、形状、耐久性が医療現場で活用されることを目指します。

「私たちのアルゴリズムとMimakiの3Dプリント技術を組み合わせて作る実物モデルは、色彩的にも形状的にもリアルで、数値化可能なため、再現性があります。この方法を用いれば、さらなる新境地を切り開くことができるかもしれません。例えば病理解剖学では、特定の病気による異常な状態をリアルに示す3D臓器モデルを作ることができるようになり、外科手術の準備や患者とのコミュニケーションにとても有用なツールとなるでしょう。」

「私たちは、既存の解剖学モデルや解剖用の献体(とても価値があるが、デリケートで腐りやすく、特定の条件下のみ使用可能なもの)の代わりに、3Dプリントされた解剖学モデルを大学、研究機関、病院、診療所で活用できるチャンスを得ました。」


解剖学モデル製作に最適なソリューションへ


ボンパンの3DスペシャリストであるAndrea Ferrante(アンドレア・フェランテ氏)のコメントです。

「私たちは、フィレンツェ大学のチームとのコラボレーションにとても興奮しています。このプロジェクトは、当社の3Dプリント技術の優れた品質を実証し、裏付けるものになりました。3DUJ-553は、これらの解剖学モデルに必要な細部の形状表現と高い色表現力、そしてそれらをいつでも再現し供給することができる、最適なソリューションであることが証明されました。」
「今後、3DUJ-553と同じ技術を搭載し、よりコンパクトで親しみやすいデザインの3DUJ-2207もラインナップに加わりましたので、この技術がさまざまな分野で広く活用されることを確信しています。」


企業・団体プロフィール

  • 名称The University of Florence
  • 住所P.za di San Marco, 4, 50121 Firenze FI, Italy
  • URLhttps://www.unifi.it/

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