ミマキのフルカラー3Dプリンタが靴のデザインプロセスに革命を起こす理由

課題
改善
シューズメーカーの新製品デザイン開発において、試作品を製作する際、工場に注文してから受け取りまで1カ月以上かかっており、デザインアイデアが形になり手に取るまでに時間がかかっていた。
3DUJ-553があれば靴の3Dデザインモデルを1日~2日でプリントできるため、通常1カ月以上かかっていた試作品の製作期間を大幅に短縮できる。また、デザインの変更から試作品の製作まで、短期間で何度も繰り返すことができ、より良い製品づくりに繋げることが可能。

導入した製品

Mimaki. CREDIT: Courtesy Photo

Mimaki. CREDIT: Courtesy Photo


靴をデザインする過程において、試作品の製作は実際の販売品を作るために非常に重要だが、時間と費用がかかることが問題だった。
そこでミマキの出番となる。
1975年に設立された、日本の産業用インクジェットプリンタメーカーであるミマキのフルカラー3Dプリンタは、人気シューズブランドのデザインの工程に革命を起こした。

ミマキの3Dプリンタは、最大1,000万色以上の色表現が可能で、Adobe Substanceのテクスチャライブラリからダウンロードした様々なテクスチャを忠実に再現できる。実際に作られた試作品はデザイン検証に有用であり、サンプルとしての役割を十分に果たしていた。靴ひもからアウトソールに至るまで、リアルな試作品を作ることができれば、各ブランドはより一層良い新製品を発表できるだろう。

ここで重要なのは、フルカラー3Dプリンタの3DUJ-553は本物のようにリアルな試作品をすぐに出力できる点だ。実物サイズの試作品を1日以内にプリントできるため、試作品の評価からデータの変更、次の3Dモデルの出力までのサイクルを数日程度で回すことができる。
従来の方法だと、1度試作品を作るのに1カ月以上かかることもあるため、3DUJ-553を使えばトータルで数カ月も節約できるのである。

ミマキエンジニアリングのグローバルマーケティンググループで3Dスペシャリストを務めるマイケル・スィッケルス氏はフェアチャイルドスタジオのインタビューに応じ、3Dで試作品を出力する工程や、同社が一般的な設計にかかる時間をどのように短縮しているか、3Dプリンタがシューズ産業だけにとどまらず様々な業界に及ぼす影響などを説明した。


フェアチャイルドスタジオ:ミマキはどのような会社でしょうか。

マイケル・スィッケルス(以下M.S.):ミマキは、産業用インクジェットプリンター、カッティングプロッタ、インクなどの開発・製造・販売・保守を一貫して行う開発型企業です。我々の製品開発の歴史は1987年、ドラフティングプロッタから始まりました。

1996年、ミマキは最初のインクジェットプリンタを発売し、現在では3ピコリットルまでインク滴を調節できるモデルもあります。1ピコリットルがどれくらい小さいかというと、1リットルの1兆分の1にあたり、人間の視力では確認できません。

2017年、ミマキはそれまでの高性能インクジェットプリンタの開発経験を活かし、3D分野に進出しました。産業用フルカラー3Dインクジェットプリンタ「3DUJ-553」の誕生です。初の3Dプリンタでありながら、インクジェットプリンタでの豊富な経験を活かし、3Dプリントでも圧倒的な色彩とディテール表現を可能にしました。


3Dプリントサンプル:Mimaki 3D靴デザイン

フェアチャイルドスタジオ:ミマキのフルカラー3Dプリンタは、デザインの工程全体において、シューズデザイナーや学生にどのように役立っていますか?


M.S.:ミマキのフルカラー3Dプリンタには、出力スピードの速さ、創作性、使いやすさといった優位性があります。デザインルームや学校に3DUJ-553があれば、工場へ試作品を注文する必要がなく、デザインに必要な期間を数カ月短縮することができます。

3DUJ-553は1,000万色以上を再現でき、従来の製造方法では難しかったユニーク(奇抜な)な形状やパターンを3Dプリンタにより再現することができます。また、業界標準のソフトウェアであるAdobe Substance、Rhino、ZBrush、Modo、Autodeskなど、どれを使っていても3Dモデルをプリントすることができます。

デザイナーは現在のワークフローに大きな変更を加える必要はなく、今ある素敵なデザインを、いつでも手に取って感じることができるようになるのです。


フェアチャイルドスタジオ:リアルな試作品を1日以内に3Dプリントできることが、シューズデザインのスケジュールにどのような影響があると考えていますか?


M.S.:従来の方法であれば、シューズデザイナーは仕様書を工場(その多くはアジア)に送り、試作品を作ってもらいます。注文してから試作品がデザイナーの手元に届き、評価を受けるまで1ヵ月以上かかることもあるのです。また、大きな変更があれば、別の試作品を作る必要があり、ただでさえ少ない開発時間をさらに費やすことになります。

想像してみてください。デザインルームにフルカラー3Dプリンタを設置すれば、社内で試作品をすぐに製作できます。3DUJ-553なら、視覚的にリアルなメンズのサイズ9(27cm)の靴を1日以内にプリントすることが可能です。シューズデザイナーは試作品を評価し、3Dデータに変更を加え、またすぐに出力することができます。通常なら数カ月かかる工程が数週間に短縮され、さらにこの奇跡はあなたの職場でも起こせるのです。


ミマキの3Dプリンタで出力された靴

ミマキの3Dプリンタで出力された靴


フェアチャイルドスタジオ:ミマキはAdobe Substanceのような業界標準のソフトウェアに対応することで、機能や顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)をどのように向上させていますか?


M.S.:機能性と顧客体験が向上する点は、2つあります。まず、3DUJ-553を使ったフルカラーでの出力は、主要な3Dデータ形式すべて(.obj、.ply、.wrl、.3mf)に対応しているため、デザイナーは普段から使っている3Dモデリングソフトを使い続けることができます。3Dプリンタを設置し、基本的な使い方のトレーニングを受ければ、誰でもすぐに3Dデータを出力できるのです。

次に、3DUJ-553は実物さながらのクオリティで出力できます。クリアを含めて1000万色以上を表現できるだけでなく、なんと20マイクロメートルの細かさで1層ずつプリントすることができるのです。プリントしたいデザインを、上から下まで20マイクロメートルの薄さで切ることを想像してみてください。この細かさのおかげで、靴のデザインにあるデニム、メッシュ、レザー、ナイロンなどのテクスチャーを本物のように表現できるのです。

業界で広く使われているAdobe Substanceは、何千種類ものリアルなテクスチャーデータライブラリを用意しており、3Dモデルの好きな場所にドラッグ&ドロップしてテクスチャーを適用することができます。さらに自分の好きな素材のテクスチャーをスキャンして登録することも可能です。デザインを出力すれば、目で見て試作品を評価することができます。頭のなかで想像できるものは、なんだって作れるのです。


フェアチャイルドスタジオ:創造的かつ革新的なデザインを創りたいシューズデザイナーのニーズに、ミマキの3Dプリンタはどのように応えていますか?


M.S.:ミマキのフルカラー3Dプリンタによって、シューズデザイナーは大きなワークフローを変更することなく、クオリティの高い試作品をすぐに作ることができます。この点は、創造力を高める上で大きなメリットです。

デザイナーが考えていることを想像してみましょう。
「この素材/スタイル/色は試したことがないからうまくいかないかもしれないけど、どうなるか見てみたいな。せっかくミマキの3DUJ-553があるんだし、一度試してみるといいかも? 1~2日で本物そっくりの試作品が作れるんだからね。」
このように、手軽さと高い品質が創作の自由度を高めてくれるのです。


ミマキの3Dプリンター「3DUJ-553」

ミマキの3Dプリンター「3DUJ-553」


フェアチャイルドスタジオ:靴以外の商品やアクセサリーの市場において、御社の3Dプリンタを使って試作品を作るメリットはありますか?


M.S.:3DUJ-553は、3DCADやCG、3Dスキャンソフトとの相性が抜群です。実際、各業界のプロフェッショナルに、当社の3D技術を応用いただいており、業界に特化したニーズに様々な形で応えています。例えば、3DUJ-553の色彩表現と高い精度は、フィギュアや模型業界で、試作品・販売品の製造に活かされています。

また、3Dスキャンデータにも対応しており、3Dスキャン装置を使って、人物やペットなど記念に残したいものをスキャンし、3DUJ-553でフルカラーで出力する企業もあります。ドローンを使って建物や街をスキャンして3Dデータを作成し、3Dプリントすることも可能です。

医療業界では、3DUJ-553を使って、非常に詳細かつ正確な医療モデルを出力しているお客様もいらっしゃいます。そこではCTやMRIのデータも活用されています。また、建築事務所や建設会社では、構造設計の解析や、顧客や地域社会に向けたプレゼンにフルカラー3Dプリンタの利用を検討されるケースが多いです。

このように、幅広い業界においてミマキの技術は高い評価をいただいており、フルカラー3Dプリンタ、および積層による造形方式という今日からでも使える素晴らしい技術について、より多くの人に広く知ってもらえることを、心から望んでいます。


フェアチャイルドスタジオ:フルカラー3Dプリンタを活用することによって開発のスピードが上がり、シューズメーカーにとっては大きな革新となりましたが、それを踏まえて、シューズデザインの未来はどのように進化していくとお考えですか?


M.S.:3Dモデリングは、デザイナーにとって利便性と自由度が高いため、シューズデザインにおいて今後ますます普及していくでしょう。3Dプリントは3Dモデリングと密接な関係にあり、3Dプリンタで高品質な作品を出力できるのであれば、導入が進むのは当然のことです。

実際、私は何人ものデザイナーから、手に取れる試作品に勝るものはないと言われてきました。3Dモデリングと3Dプリントは、物理的なプロトタイプに取って代わるものではありませんが、アイデアからデザインまでの時間を短縮し、デザイナーにより多くの選択肢を提供します。3Dは、今後もシューズデザインに革命を起こし続けると私は信じています。

ミマキは11月19日から22日までドイツのフランクフルトで開催される展示会「Formnext」に出展します。ぜひお立ち寄りいただき、フルカラーのシューズサンプルをご覧になり、ご質問があればスタッフにお尋ねください!

ミマキの3Dプリンティング技術の詳細については、mimaki.comをご覧ください。ミマキの3Dプリンターに関するご質問やご興味がある方は、inquiry_3d@mimaki.comまでメールをお送りください。


元の記事は "Footwear News(英語)" にてお読みください。


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