Mimaki 3DUJ-553を活用し、学生と地元企業に3Dプリント技術と関わるための入口を提供:オークランド大学Creative Design and Additive Manufacturing Lab様

課題
改善
フルカラー3Dプリンタを探していたが、発色や費用面で折り合いがつかず、必要に応じて単色の3D造形物に手作業で色付けしていた。
Mimaki 3DUJ-553フルカラー3Dプリンタを導入し、大学の予算内のランニングコストで1000万色印刷が可能になった。

導入した製品

2019年にニュージーランド、オークランド大学で開設されたCreative Design and Additive Manufacturing Lab(以下、CDAML)では、3Dプリンタの技術を単なる試作用途としてではなく、社会の産業現場で主流の生産方法として実現することを目的として、3Dプリンタの応用技術やアプリケーションのワークフロー研究に重点を置いています。


3DUJを導入し、CDAMLは医師と患者のコミュニケーションで使用する視覚的補助モデルなど、医療分野での応用にも携わる

3DUJを導入し、CDAMLは医師と患者のコミュニケーションで使用する視覚的補助モデルなど、医療分野での応用にも携わる


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CDAMLには、常駐スタッフ4名と他分野を兼任する博士課程、大学院、学部生20人以上が所属しており、さまざまな研究プロジェクトを実施しています。
例えば、ジャイロイド構造の高効率熱交換器、義肢ソケットの自動設計、高齢者向けに3Dプリンタで作る肉粉を素材にした食品サプリメントも、こちらのラボで扱うプロジェクトに含まれます。

また、CDAMLは、教育機関および外部企業に向けた3D出力サービス・プロバイダとしての役割も担っており、企業が3Dプリンタ技術による生産機会を拡大できるよう支援しています。

CDAMLは当初、工学分野のプロジェクトを中心に、粉末焼結積層造形(SLS)の3Dプリンターを数台導入していましたが、ディレクターのOlaf Diegel教授はその頃からフルカラー3Dプリンタを望んでいたと語ります。
「ずっとフルカラーが欲しくても、色無しでしのいできたんです。」

Diegel教授は過去に石膏方式のフルカラー3Dプリンタを使ったことがありましたが、製作したパーツが脆すぎるため、活用は難しいと感じていました。


3DUJによるフルカラー出力で手塗り作業が不要となったギター、American Graffiti 2.0

3DUJによるフルカラー出力で手塗り作業が不要となったギター、American Graffiti 2.0


当初、CDAMLでは既存設備の粉末焼結積層造形3Dプリンタを利用しつつ、色付けが必要なときには手描きで着色していました。Diegel教授は個人的な3Dプリンタに関するプロジェクトとして、これまでの10年間、実際に演奏可能なギターを3Dプリントするために設計を続けながら、3Dプリント技術の限界にも挑戦してきました。
「2年ほど前、ビートルズ・モチーフのベースギターを製作しました。中にはイエロー・サブマリンの潜水艦、アビーロードからのシーン、サージェント・ペパーのドラムセットのオブジェも配置してあります。私はアーティストである妻に、ギターの内側を手描きで着色してもらいましたが、全てを塗り終える頃には、(着色作業が大変すぎて)きっと嫌われてしまった気がしています!」

そのようなときに転機は訪れました。Diegel教授は2020年、Scarab STと命名された別モデルの演奏可能なエレクトリックギターを共同製作する機会でMimaki USAと繋がりを持ち、ギターの本体部分を、3DUJ-553を使ってフルカラー3D出力することに成功しました。
そのギターを手にしたときの様子を教授は語ります。
「とても見事な出来栄えでした...あまりの出来栄えに、ラボ用に3Dプリンタを購入するきっかけにもなりました。」

他にも2種類(インクジェット方式とナイロン材料の粉末造形方式)のフルカラー3Dプリント技術で同じギターを出力してみたところ、やはり最も色鮮やかに表現できたものが3DUJ-553でした。

ただし、大学にとって最大の決め手となったのは、ランニングコストでした。
「大学としては、マシン価格はあまり問題ではなく、継続的なランニングコストが重要です。」
Diegel教授が他の3Dプリンタを調べたときに、材料費は3DUJ-553の2倍近い機種ばかりでした。


CDAMLの「クリエイティブ・フライデー」活動で制作された盆栽

CDAMLの「クリエイティブ・フライデー」活動で制作された盆栽


Juan Schutte(博士)製作、3DUJ-553を含む三種類の異なる3Dプリント技術で出力されたペン

Juan Schutte(博士)製作、3DUJ-553を含む三種類の異なる3Dプリント技術で出力されたペン


Diegel教授によると、3DUJ-553を導入したことにより、間違いなく大学に新たな学生を呼び込み、在校生にとってもラボへの関心を高めることに役立てられていると語ります。
「オープンキャンパスの日には、フルカラー3Dプリントは特に人々を惹きつけています。」
通常、3Dプリンタを利用するのは学内のエンジニア系の学生ですが、3DUJ-553の場合では、アート系の学生にも好評でラボを開放しています。  


そして、3DUJ-553導入の結果、CDAMLの請け負う3D出力サービスには、3Dスキャンした人体モデル、フルカラーでの試作やモックアップ、医療用モデリングなど、新たな用途も加わりました。
学外では、医師が患者のCTスキャンから手術時に必要な視覚的補助モデルを作る目的で、ラボの出力サービスを利用することもあります。

Diegel教授によると、医師は手術で不明確な点を減らすために、また患者へ手術手順を伝える際にも、このようなモデルは活用されているそうです。
このような理由から、ラボには医療分野からも多くの問合せがあり、3DUJ-553だけでなく他のプリンタも活用されながらその要望に応えています。


「Life in plastic, it’s fantastic」(3Dプリントされた解剖学モデルのタイトル)は、2021年にCDAMLのエンジニアリング・クリエイティビティ賞を受賞

「Life in plastic, it’s fantastic」(3Dプリントされた解剖学モデルのタイトル)は、2021年にCDAMLのエンジニアリング・クリエイティビティ賞を受賞


他にも、CDAMLでは、3DUJ-553の導入以前には実現困難であった、マオリ族の文化財を3Dスキャン・3Dプリントにより複製する文化保存プロジェクトにも着手しています。
最近では、3Dスキャンしたマウリ伝来の家宝である法螺貝のトランペットを、実際に演奏可能な状態でフルカラーの複製物として3Dプリントしました。

CDAMLは3DUJシリーズ活用の展望として、特に医療分野への応用を期待しており、いつの日か外科手術のために、本物の患者の人体組織を正確に再現した、超精密モデルを製作したいと考えています。


次に手掛けるフルカラー・プロジェクトを検討中のOlaf Diegel教授の姿

次に手掛けるフルカラー・プロジェクトを検討中のOlaf Diegel教授の姿


企業・団体プロフィール

  • 名称Creative Design and Additive Manufacturing Lab at the University of Auckland
  • 住所Building 901-324, University of Auckland Newmarket Campus, 314-390 Khyber Pass Road, Auckland, 1023, New Zealand
  • URLhttp://www.cdamlab.com/

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